30分無料相談を電話で予約

お役立ちコラム

法人破産をした場合の代表者への影響や従業員への影響は?

2026/06/01(月)

法人破産をした場合の代表者への影響や従業員への影響は?

法人が経営不振に陥り、やむなく破産手続を選択する場合、その影響は会社のみにとどまらず、代表者個人や従業員にも広く及びます。一方、代表者個人の再起の道が閉ざされているわけではなく、従業員に対しても制度利用による当面の生活資金や再就職のサポートが可能です。本記事では、法人破産により具体的にどのような影響が生じるかを解説していきます。

債務整理無料相談
債務整理無料相談

代表者への影響

まず、法人破産をすることによる代表者への影響について、「本人の破産手続は必要か」「破産後に代表者個人が就労あるいは自身で新たな事業を始めることはできるか」「代表者の家族にはどのような影響があるか」といった問題について解説します。

代表者個人も破産手続する必要があるか

法人と代表者個人は法律上別人格であるため、法人が破産したからといって必ず代表者個人も破産しなければならないわけではありません。代表者個人の自己破産の要否は、「会社の債務の連帯保証人になっているか否か」及び「代表者個人の支払能力」によって判断されます。

多くの中小企業では金融機関からの借入に対して代表者個人が連帯保証人となっています。代表者が会社の債務の連帯保証人になっている場合は、代表者個人の資産で会社債務を弁済できる場合を除いて、同時に代表者個人の破産も検討すべきといえます。代表者が連帯保証人になっている場合、法人が破産しても債務そのものは消滅せず、金融機関等の債権者は代表者個人に対して残債務の一括請求が可能です。代表者個人が支払不能に陥る場合には、自己破産を申し立てて免責を受けることによって、残債務の支払義務を免れることができます。

他方、代表者個人が会社債務の保証をしていない場合は、会社が破産しても代表者個人が会社の債務を負うことはないため、自己破産が必要とは言えません。ただし、代表者個人が多額の借金を負っていて、法人破産により支払不能になるおそれがある場合等は、別途自己破産を検討する必要があるでしょう。

法人破産後に代表者個人が就労できるか

法人の代表者が、法人破産手続そのものによる就労制限を受けることはありません。ただし、同時に自己破産手続を行う場合、破産手続開始決定から免責確定までの間は以下に挙げるような一定の資格・職業に就くことができなくなります(資格制限)。
  • 弁護士、税理士、司法書士、公認会計士等の士業
  • 保険募集人
  • 警備員
  • 会社の取締役・監査役に新たに就任すること
しかし、免責許可決定が確定すれば「復権」により、これらの職業に就くことが可能になります。また、上記のような破産法上就労制限のある職業以外の仕事については、破産手続期間中も就労制限はありません。従って、法人破産後も生活再建のために就労することは十分に可能です。

法人破産後に新たな事業を始めることはできるか

代表者が法人破産後に新たな事業を開始すること自体は、法律上禁止されていません。個人事業主として開業したり、新たに会社を設立することも可能です。ただし、現実的には一定の制約があることは否定できません。

新たな事業を始める上での制約としてはまず、信用面の問題があります。破産歴がある場合、金融機関から融資を受けることは容易でないため、資金調達に大きな制約が生じます。また、取引先からの信用確保にも時間がかかる可能性があります。

さらに、破産手続中は手続を円滑に進めるために申立人に一定の行為制限が課されるため、大規模な事業活動は困難となる場合があります。事業活動に影響する行為制限の例としては、次のようなものが挙げられます。

1.自己破産の手続中の資格制限

自己破産手続を行う場合、破産手続開始決定から免責確定までの間は以下に挙げるような一定の資格・職業に就くことができなくなります。
  • 弁護士、税理士、司法書士、公認会計士等の士業
  • 保険募集人
  • 警備員
  • 会社の取締役・監査役に新たに就任すること

2.居住・移転に関する制限

破産手続中に長期間の旅行(仕事の出張を含む)や転居を行う場合には、事前に裁判所または破産管財人の許可を得る必要があります。

3.財産の管理・処分権の制限

破産手続開始決定後は、代表者個人は以下の行為ができなくなります。
  • 自己名義の財産の売却・処分(高額な物に限り、日常生活に必要な物の処分は除く)
  • 債権者に対して個別に弁済すること
  • 新たに財産的価値のある契約を締結すること
ただし、新たに収入を得ることや、新たに得た財産の処分については一定の自由が認められています。

4.郵便物の転送(個人破産の管財事件の場合)

自己破産が管財事件となった場合、破産者宛ての郵便物が一旦破産管財人に転送されます。仕事の取引先からの郵便物も管財人に転送されるため、業務に支障をきたす可能性があります。

さらに、旧会社の債権者との関係にも配慮が必要です。破産直後に同種事業を開始すると、道義的な問題や紛争に発展するリスクがあるため、慎重な判断が求められます。とはいえ、小規模な事業やスキルを活かした独立等、現実的な範囲での再起は十分可能です。

代表者の家族への影響

まず、代表者の家族が会社債務の保証人になっていない限り、法人破産そのものによって、代表者の家族が法的責任を負うことはありません。また、代表者個人が同時に破産した場合も、換価処分の対象となるのは代表者個人名義の財産に限られます。家族名義の財産に影響が及ぶことはありません。例えば、自宅の土地と建物が会社代表者の配偶者名義である場合、代表者個人が破産しても自宅不動産の所有権に影響はなく、そのまま住み続けることができます。また、配偶者名義のクレジットカード等も引き続き利用できます。

もっとも、法人破産及び、代表者個人の破産により、家族に間接的な影響が及ぶことは避けられないでしょう。具体的には、以下のような影響が考えられます。
  • 世帯収入の減少による生活水準の低下
  • 自宅が代表者名義である場合、処分により転居を余儀なくされること
  • 個人破産によって、5年~10年の間代表者個人名義のクレジットカード利用やローン契約ができなくなることによる経済的不利益

また、家族の精神的負担も大きく、家族関係に影響が出ることもあるため、事前に家族に対して十分な説明と理解を得ることが重要です。
電話相談はできませんので、渋谷の事務所にご来所下さい。

従業員への影響

法人破産により、従業員にも重大な影響が及ぶことになります。雇用契約終了による賃金や退職金の支払いの問題が生じるほか、従業員自身は再就職を余儀なくされます。これらの影響について具体的に見ていきましょう。

雇用契約はどうなるか

法人が破産手続開始決定を受けると、会社は事業継続を前提としない清算手続に入ります。これにより、従業員との雇用契約は原則として終了することになります。実際には、破産申立て前または申立て直後に解雇手続が行われるのが一般的です、破産手続開始後は、破産管財人が必要に応じて従業員を一定期間雇用することがありますが、これは在庫処分や事務処理等の清算業務のための例外的措置です。

解雇手続に対しては、通常の解雇と同様に労働基準法が適用されます。すなわち、会社は従業員に対して解雇日の30日以上前に予告するか、解雇予告手当を支払う必要があります。資金不足によって解雇予告手当の支払いを受けられない場合、未払賃金に準じて、未払賃金立替払制度(次項参照)による救済が受けられる可能性があります。

賃金や退職金の支払は受けられるか

法人が破産すると、労働者の賃金や退職金については、全額の支払は受けられないものの、破産債権の中で優先的に支払を受けられます。

1.未払賃金

未払賃金のうち、破産手続開始の3か月前以降に支払日が到来したものについては、「財団債権」として、配当に先立って優先的に支払いを受けられます。また、破産手続開始3か月前以前に支払日が到来した賃金については、配当債権の中で「優先的破産債権」として扱われ、一般の債権よりも優先的に弁済を受けることができます。ただし、会社に十分な資産がない場合、全額の支払いが受けられない可能性があります。

このような場合、「未払賃金立替払制度」を利用できます。この制度は、政府(独立行政法人労働者健康安全機構)が一定の要件を満たす労働者を対象として、未払賃金の一部を立替払いするものです。破産に伴う退職の場合、以下の要件を満たしていれば申請が可能です。
  • 破産した会社に雇用されていた(雇用形態を問わない)
  • 破産に伴い、賃金の支払いを受けないまま退職した
  • 退職日が破産手続開始日の6か月前の日から2年以内である

立替払いを受けられる額は「未払賃金総額または未払賃金総額の限度額のいずれか少ない方の金額の80%」です。未払賃金総額の限度額は、退職日の年齢別に以下のように定められています。
退職日時点の年齢未払賃金総額の限度額立替払の上限額
(左記限度額x0.8)
45歳以上370万円296万円
30歳~44歳220万円176万円
29歳以下110万円88万円

未払賃金立替払の申請手続は、労働者本人が、破産した会社の事業所を管轄する労働基準監督署で行います。

2.退職金

退職金についても、賃金に準じて一般債権よりも優先的に支払が受けられます。退職金のうち、以下の部分は財団債権として扱われます。
  • 退職日前3か月間の賃金相当額
  • 「賃金の後払い的性格」を持つ部分
上記の部分を除いた退職金は、賃金と同様の破産債権となります。配当を受けられない場合、賃金の場合と同様の上限額の範囲で未払賃金立替払制度を利用できます。ただし、未払賃金立替払制度の対象は「賃金及び退職金」であるため、退職金とともに未払賃金も存在する場合は、申請できる金額は[賃金+退職金の合計額または前述の上限額のうち小さい方の金額]の80%となります。

再就職への影響はあるか

法人破産に伴う従業員の解雇は、従業員の能力や勤務態度を原因とする「普通解雇」や重大な規律違反による「懲戒解雇」ではなく、専ら会社の経営上の理由による「整理解雇」にあたります。そのため、再就職にあたって不利な評価を受けることはありません。また、離職理由も会社都合退職扱いとなるため、自己都合退職と比べて失業手当でも受給期間や支給額で有利な取扱いを受けられます。

もっとも、再就職活動にあたっては以下のような点に留意する必要があるでしょう。
  • 離職理由を聞かれた場合は「会社が破産したため解雇された」事実のみ伝え、破産に至った原因の推測や自身が受けた取扱い等の余計な情報を付け加えない
  • 破産管財人を通して在職証明・離職票等の必要書類を確保する
電話相談はできませんので、渋谷の事務所にご来所下さい。

まとめ

法人破産は、会社の清算手続にとどまらず、代表者個人やその家族、さらには従業員の生活にも大きな影響を及ぼします。しかし、適切な手続と早期の対応によって、その影響を最小限に抑えることができます。特に、未払賃金や退職金への対応、各種公的制度の活用、債権者対応等は専門的な判断を要する場面が多く、自己判断で進めると思わぬ不利益を被るおそれがあります。状況が深刻化する前に、法人破産に詳しい弁護士に相談して適切なサポートを受けることをお勧めします。

(渋谷駅徒歩5分の法律事務所)
東京都渋谷区渋谷1-6-5 SK青山ビル8F
ウカイ&パートナーズ法律事務所
弁護士 鵜飼 大 TEL 03-3463-5551

 

お役立ちコラムカテゴリ

債務整理弁護士
Copyright(C)2010 Ukai & Partners Law Office. All rights reserved.