遺留分のお役立ちコラム
遺留分を放棄するとは？相続放棄との違い、メリット、手続きの流れについて

家族間の和解促進

遺留分放棄は、相続による家族間の争いを未然に防ぐ効果があります。放棄することで相続人間の紛争を避け、家族関係の和解と維持を図ることが可能です。特に、相続財産に関する意見の相違が大きい家族において、和解の一環として遺留分放棄が利用されることがあります。 

相続手続きの簡素化

遺留分放棄は、相続手続きを簡略化し、迅速化するメリットがあります。放棄により、遺留分請求権に関連する複雑な計算や法的手続きを省略できるため、相続財産の分配がスムーズに行われ、手続きにかかる時間とコストを削減できます。

財産分配の自由度向上

遺留分放棄は、被相続人の遺言による財産分配計画を尊重する上で有効です。放棄することにより、被相続人の意志に沿った財産の配分が可能となり、特定の相続人への財産集中や、特定の目的のための遺贈などがより容易に実現します。

遺産紛争のリスク低減

遺留分放棄は、将来発生しうる遺産紛争のリスクを低減させます。特に大きな遺産が関係する場合、遺留分の放棄により相続人間での合意が形成されやすくなり、長期にわたる法的争いを避けることができるため、相続人全員にとって精神的な負担が軽減されます。

相続放棄とのバランス

遺留分放棄は、相続放棄と比較しても、遺留分に関わる権利のみを放棄するため、相続人が特定の財産や権利を保持しながら、財産分配に関する紛争を避けるバランスを取ることができます。これにより、相続人は自身の経済的利益と家族間の和解の間で、より柔軟に選択することが可能になります。

家族間の紛争予防

遺留分放棄は、相続が原因で生じる可能性のある家族間の争いを予防する効果的な手段です。遺産分割に関する合意が事前になされることで、相続人同士の調和を保ちながら、平和的な解決策を模索します。この選択は、長期的な家族関係の維持に貢献することが期待されます。

事業継承の円滑化

家族企業の将来を考慮し、特定の後継者へのスムーズな事業継承が必要な場合、遺留分放棄が役立ちます。これにより、他の相続人が事業に関わることなく、選ばれた後継者が円滑に経営権を継承することが可能となり、事業の持続的な成功を支援します。

遺言の意向尊重

被相続人が生前に残した遺言による財産分配の意向を尊重するため、遺留分放棄が選択されることがあります。特に、故人が特定の相続人に財産を集中させたいと考えていた場合、この方法で遺言の実現が可能となり、故人の最終的な願いを反映させることができます。

相続手続きの簡素化

未成年者の単独での遺留分放棄

未成年者の法的行為は、親権者や法定代理人の同意が必要ですが、遺留分の放棄は未成年者の経済的利益を損なう可能性があるため、裁判所の許可が必要とされます。このような場合でも、裁判所は未成年者の最善の利益を優先して判断します。

強迫による遺留分放棄

相続人が他者からの圧力や脅迫によって遺留分を放棄した場合、その放棄は無効とみなされることがあります。法的な行為は自由な意志に基づいて行われるべきであり、強迫や不正な影響下での決定はその効力を持ちません。この原則は、相続人が公正な扱いを受け、不利益な状況に置かれないよう保護するために重要です。

詐欺や誤解に基づく遺留分放棄

相続人が詐欺や重大な誤解の下で遺留分を放棄した場合、このような放棄は認められないことがあります。正確な情報や事実に基づかない決定は、法的に無効とされる可能性が高いです。相続人が実際には存在しない事実や誤った情報に基づいて遺留分放棄を行った場合、その放棄は後に撤回される可能性があります。

1. 法的相談を受ける

遺留分放棄を考えている場合、最初に弁護士などの相続や遺留分等の法律専門家に相談することが重要です。この相談を通じて、遺留分放棄の法的意味、影響、および手続きの詳細について理解を深めます。専門家のアドバイスは、適切な決定を下す上で不可欠です。ウカイ＆パートナーズ法律事務所でも相続や遺留分についての30分無料相談を受け付けております。

2. 放棄意思の確認

遺留分放棄の意思を固めたら、その決定が自分の意思に基づくものであり、強迫や誤解によるものではないことを自己確認します。この段階で、遺留分放棄の効果について再考し、決定が正しいかどうかを検討します。

3. 遺留分侵害の確認

遺言によって定められた相続分と遺留分を比較し、遺留分が侵害されているかを確認します。遺留分侵害がある場合、その差額を請求することができます。

4. 相手方へ通知

遺留分侵害額の請求は、遺留分に関する権利を行使する旨の意思表示を相手方にする必要があります。家庭裁判所の調停を申し立てただけでは相手方に対する意思表示とはなりませんので、調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。この遺留分に関する権利を行使する旨の意思表示をしないときは、遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年又は相続開始の時から10年を経過したときに時効によって消滅するため、遺留分侵害額請求ができる期限にも注意しなければなりません。

5. 遺留分侵害額請求調停の申立て

遺留分侵害額の請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停申立てを行います。この手続きには法的な知識が必要となりますので、通常は弁護士などの専門家が代理として行います。

法的助言の必要性

遺留分放棄を行う前に、弁護士等の相続や遺留分の法律専門家から詳細な助言を受けることが極めて重要です。弁護士は遺留分放棄の法的影響や手続きについて説明し、個別の事情に最適なアドバイスを提供します。誤った決定を避けるために、このステップは不可欠です。

完全な意思決定の保証

遺留分放棄は自発的かつ十分な情報に基づく意思決定でなければなりません。放棄を決定する前に、その意思が自由であること、そしてすべての法的効果を理解していることを確認する必要があります。圧力や誤解に基づく決定は無効になる可能性があります。

長期的な影響の検討

遺留分放棄は取り返しのつかない決定であり、長期的な財産権や法的権利に重大な影響を及ぼします。放棄する前に、将来の経済状況や家族関係にどのような影響があるかを慎重に検討する必要があります。短期的な解決ではなく、長期的な視野で判断を行うことが重要です。

手続きの正確性

遺留分放棄の手続きは、特定の法的要件に従って正確に行われる必要があります。相手への通知、遺留分侵害額請求調停申立てなど、すべてのステップを適切に実行することが必須です。手続きの不備が後のトラブルの原因となることを避けるために、細心の注意を払う必要があります。

遺留分請求権の確認

遺留分を放棄しない場合、まず遺留分請求権の存在とその範囲を確認する必要があります。弁護士に相談し、自身が相続人としてどの程度の遺留分を持つのか、具体的な計算方法を理解することが重要です。この段階で、遺留分に対する権利を明確に把握します。

遺留分侵害の有無の調査

遺言書や相続分配の内容を精査し、自己の遺留分が侵害されているかどうかを確認します。侵害がある場合は、どの財産が遺留分侵害に該当するかを特定し、侵害された遺留分の具体的な額を算出します。この情報は、後の遺留分侵害額請求に必要となります。遺留分が侵害されている場合の多くのケースでは、親が生前、子に対して自宅不動産や、自分で経営している会社の株式全てを遺言により相続させていることがあります。このようなケースでは、他の相続人の遺留分を侵害している場合が多いので、不動産や株式の評価額を含めてしっかり調査すべきです。

遺留分侵害額請求の準備

遺留分が侵害されていることが確認できたら、遺留分侵害額請求を行う準備をします。この請求は、遺留分の侵害を正すために行われるもので、侵害された遺留分の回復を求める法的手続きです。準備には、必要な書類の収集や請求書の作成が含まれます。

協議による解決の試み

可能であれば、他の相続人との協議を通じて遺留分に関する問題を解決しようと試みます。協議による解決は、時間や費用を節約し、家族間の関係を守るための効果的な方法です。協議には、遺留分の放棄や調整など、様々な解決策が検討されます。

法的手続きの実行

協議による解決が不可能な場合、裁判所に遺留分侵害額請求を提起することになります。この手続きには、訴状の提出や証拠の提示など、複数の法的行動が伴います。法的手続きを通じて、遺留分の保護を求めることができます。