相続放棄のお役立ちコラム
兄弟姉妹が相続放棄を行う方法とは？メリットや手続きの流れ、必要書類について解説

直系血族がいない場合の相続

故人に直系血族（子どもや孫）が存在しない場合、兄弟姉妹が遺産を相続するケースがあります。相続法では、直系血族の不在の場合、兄弟姉妹を次の順位の相続人として位置づけており、兄弟姉妹に遺産分配の権利を与えています。直系血族の不在の場合において、兄弟姉妹は故人の財産や資産に対する相続権を有することになります。

遺言で兄弟姉妹が指定された場合

故人が遺言により兄弟姉妹を相続人として指名した場合、遺言の内容に基づいて兄弟姉妹に遺産が分配されます。この場合、故人の意志が最優先され、遺言で指定された兄弟姉妹が遺産を相続します。遺言による指定は、故人の最終意思として尊重されます。

直系血族が相続放棄した場合

配偶者や直系血族がいない、もしくは相続権を放棄した場合、兄弟姉妹が法定相続人として遺産を相続することになります。この状況では、兄弟姉妹は自動的に相続の対象となり、故人の財産に対する権利を得ることができます。法定相続人としての兄弟姉妹は、遺産分割協議を通じて、相続財産を公平に分配することが求められます。

負債超過の遺産を受け継ぐリスクを避ける

故人が残した遺産が借金やその他の負債を上回る場合、相続人にとって経済的負担となります。この場合、相続放棄は相続人が負債を負担しないための合理的な選択です。放棄により、故人の借金を引き継ぐリスクを回避し、自身の財産を保全できます。

相続税の負担を避ける戦略

相続税の額が大きくなり、支払いが困難な場合も考えられます。特に、相続財産が現金ではなく、不動産や非公開株式など現金化が困難な資産の場合、相続税の支払いが負担となることがあります。

事業を承継するケース

故人が事業をしており、その法人の株式や個人事業主の事業自体が相続の対象となる場合、いわゆる跡取り問題が生じることがあります。例えば、兄が事業の跡を継ぐ等、兄弟姉妹間でも争いがない場合は、他の兄弟姉妹が相続放棄をすることで兄弟姉妹間の争いを防ぐことがよくあります。

複雑な遺産分割を回避するため

故人が多種多様な資産を残した場合、その遺産の分割が複雑になる可能性があります。相続人が多い、または資産が特殊で分割が困難な場合、相続放棄は遺産分割に伴う手間や紛争の可能性を減少させます。

相続財産の管理負担を考慮する

特定の遺産、特に管理が難しい不動産やビジネスなどの資産を相続することは、相続人にとって大きな時間的、経済的負担となる場合があります。このような資産の管理に自信がない、または関心がない場合、相続放棄を通じてその責任から自由になることが可能です。

手続きの効率化

兄弟が同時に相続放棄を行うことで、家庭裁判所への訪問や書類提出が一度に済まされ、手続きの時間と労力が節約されます。これは、特に距離や忙しさが問題となる場合に有効で、全員の手続きがスムーズに進行するため、相続放棄プロセスの全体的な効率が向上します。

相続財産の明確化

複数の兄弟が一斉に相続放棄することで、どの財産が相続され、どの法定相続人に移行するかが明確になります。これは、将来的な遺産の管理や分配に関する不明確さや混乱を避けるために有効であり、相続財産の処理をより円滑にします。

家族間の紛争の回避

兄弟間で相続放棄について合意し、同時に行うことは、家族内での意見の不一致や紛争を防ぐことに寄与します。相続財産を巡る潜在的な争いを未然に防ぎ、家族関係を維持する上で重要な役割を果たします。

相続放棄の決定

兄弟姉妹が故人の遺産を相続する際、最初に行うべきは共同で会議を開き、相続放棄をするかどうかを決定することです。この段階では、故人の遺した財産と負債の全体像を把握し、各自の財政状況や将来計画を考慮に入れながら、相続放棄の利点と欠点を議論します。

法律相談と相続放棄の準備

相続放棄をすることになった場合、次のステップは法律専門家との相談を通じて、相続放棄のプロセスに関する具体的なアドバイスを受けることです。この段階で、相続放棄に必要な書類の準備や、家庭裁判所に提出するための正式な手続きの詳細を確認します。兄弟姉妹は、それぞれが個々に相続放棄の書類を準備する必要がありますが、情報や必要書類の共有を通じて効率化を図ることが可能です。

家庭裁判所への相続放棄申述

相続放棄の書類が準備できたら、兄弟姉妹は家庭裁判所にそれぞれの相続放棄の申述を行います。理想的には、同じ日に全員で裁判所を訪れることで、プロセスの一貫性と効率を保証します。申述には、故人の死亡証明書や相続放棄を示す書類が必要となります。裁判所はこれらの申述を受け付け、個々の相続放棄が法的に処理されるよう手続きを進めます。

家庭裁判所に照会書を返送

家庭裁判所に必要書類を提出すると、家庭裁判所から「照会書」が送付されてきます。そこで、家庭裁判所から送付された「照会書」に回答し返送します。

家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

照会書への回答に問題がなければ、1週間～10日ほどで「相続放棄申述受理通知書」が届きます。そうすると、兄弟姉妹は法的に故人の遺産からの相続権を放棄したことになり、それぞれの法的責任や権利が消滅します。裁判所のスケジュールや審査の混雑状況によって異なりますが、相続放棄の書類が適切に準備されている場合、通常は迅速に進行します。

相続放棄後の手続きと対応

相続放棄が法的に承認された後、兄弟姉妹は遺産管理に関わるさらなる責任から解放されます。相続放棄申述受理通知書が届いた後は、相続放棄申述受理証明書を家庭裁判所に申請してください。直接、受理した家庭裁判所まで申請に行く場合は，印鑑及び受理通知書や運転免許証などの本人を確認することができるものを持参します。金融機関等から督促を受けている場合には、相続放棄申述受理証明書を提出することにより債務から解放されます。

財産分配の不均等性

兄弟姉妹のうち一人が相続放棄をすると、残る財産が他の相続人により多く分配される結果、財産分配に不均等が生じます。これは特に、相続放棄を選んだ個人が将来的に経済的支援を必要とした時、家族内の争いを引き起こす原因となるかもしれません。

家族関係の緊張

一人の相続放棄が他の兄弟姉妹との間に感情的な隔たりを生むことがあります。特に、相続放棄の理由が十分に理解されない場合、不信感や疎外感が生じる可能性があります。

相続放棄後の撤回が許されない

相続放棄を決めた個人が後にその決断を後悔する可能性があります。相続財産の価値が後に上がる、または個人の経済状況が変わるなど、将来的に見直したくなる状況が発生しても、一度行った相続放棄は撤回できません。

相続権の永久喪失

相続放棄を行うことで、その個人は故人からの相続権を永久に失います。これは特に、故人の遺志に基づく財産の受け取りを望んでいた場合、重大な影響を及ぼす可能性があります。