○ DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、夫や恋人等の親密な関係にあるもしくはあった男性から女性に対して(or 女性から男性に対して)ふるわれる暴力のことであり、典型的には、夫が妻に対して殴る蹴るなどの暴行を加える場合をいいます。
はい。
○ 日常的な暴行・虐待や酒乱などに起因する暴行は、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められます。裁判の判決でも夫の暴力に対しては厳しい判決が出ています。
○ もっとも、相手方がDVの事実を否定することが多いので、医師の診断書や暴行状況の録音、親族や友人の証言など証拠を用意する必要があるでしょう。
○ 身体に対する暴力のみならず、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれます。
○ 具体的には、以下のようなものがあります。
はい、場合によっては離婚できます。
○ 離婚訴訟においては、無視や暴言を吐くといった精神的暴力だけでは「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとはしておりません。
○ もっとも、裁判所は破綻主義を採っており、離婚が認められるのかどうかの判断にあたり、長年の暴言により婚姻関係が破綻するものがあると認定すれば「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められるでしょう。つまり、その他の事情と合わさって判断される際の一つの要素になり得ます。
○ 夫が妻を長年に渡り無視している、毎日のように暴言を吐く、異常なくらいに束縛をする等により精神的圧迫を受けているような場合、「これはDVにあたらないから離婚は無理では」と考える必要はありません。裁判所は、他の要素と合わせて、「婚姻を継続し難い重大な事由」があり、婚姻関係が破綻しているかどうか考えるのです。
○ 以下の証拠収集活動をするとよいでしょう。
はい。
○ 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(いわゆるDV防止法)があります。配偶者からの暴力を防ぎ、被害者を一時的に保護したり、被害者の申立てにより加害者に対して家から退去するように裁判所から命令を出してもらうことのできる法律です。
○ 以下の通りです。
○ 裁判所に申立てをし、①接近禁止命令、②退去命令、③電話等禁止命令を出してもらい、生命・身体への危害防止を図ることが可能です。
○ 接見禁止命令
内容: | 被害者の避難先や住居、勤務先、通常被害者が居る場所またはその付近において、被害者につきまとい、徘徊することを禁止する命令です。 |
期間: | 6ヶ月間 |
○ 子への接見禁止命令
内容: | 被害者と同居している子の身辺につきまとい、住居や学校等その通常いる場所の付近を徘徊することを禁止する命令です。加害者が子に接近することにより、被害者が加害者に会わざるを得なくなる状況を防ぐことが法の趣旨。 |
期間: | 6ヶ月間 |
○ 退去命令
内容: | 配偶者を被害者と同居の住居から退去させ、当該住居の付近を徘徊することを禁止する命令です。 |
期間: | 2ヶ月間 ※2ヶ月と短いが、一時的に自宅に近寄らせないようにして、その間に被害者が荷物をまとめて引越をすることができます。 |
○ 親族等への接近禁止命令
内容: | その親族等の身辺につきまとい、住居(その親族等が加害者と同居する住居等は除く。)や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。加害者が、被害者と密接な関係にある親族等の住居に押しかけて暴れるなど被害者が加害者に会わざるを得なくなる状況を防ぐことが法の趣旨。 |
期間: | 6ヶ月間 |
○ 電話等禁止命令
内容: | 加害者が被害者に対する面会の要求、深夜の電話やファックス、メールなど一定の行為を禁止する命令です。 |
期間: | 6ヶ月間 |
以下の方々も保護の対象になります。
○事実婚 | 婚姻の届出をしていない、いわゆる「事実婚」も含まれます。ただし、単なる恋人関係は保護の対象外です。 |
○元配偶者 | 婚姻中に配偶者からの暴力を受け、さらに離婚後も引き続き暴力を受けるおそれがある場合には、離婚後も保護の対象となる。 |
○男性 | 被害者は、女性に限られず、男性が被害者となる場合もあります。暴力を振るわれているならば、保護の対象は、男女を問いません。 |
○ 警察か配偶者暴力相談センターに相談した上で、申立書を作成します。
○ 保護命令の申立は、管轄の地方裁判所に提出します。
○ 上記申立書に加え、戸籍謄本・住民票・医師の診断書や怪我の写真などを添える必要があります。
○ 警察等に相談していない場合、公証人役場にて、公証人面前宣誓供述書を作成し、申立書に代えることもできます。
○ DV防止法の保護命令の申立をした場合、通常、審理に2週間程かかります。
○ 裁判となると、数ヶ月もかかるイメージでしょうが、保護命令事件の場合、暴力から被害者を守らなければならず緊急性を要することも多いため、実務の運用では、短期間で保護命令が出るようになっております。
はい、含まれます。
○ 精神的暴力・性的暴力も身体に対する暴力と同様に許されないものであり、平成16年の改正で「配偶者からの暴力」は、身体に対する暴力のほか、精神的暴力・性的暴力も含むと定義しました。もっとも、「殺してやる」、「腕をへし折ってやる」等の言動を吐くなど生命・身体に対する脅迫が対象とされますが、単に無視するだけや「バカ野郎」など暴言を吐くだけでは対象になりません。