
退職勧奨とは?○ 退職勧奨とは、使用者(会社側)が労働者に対して退職を促すことです。
○ 使用者(会社側)が労働者を一方的に辞めさせる解雇とは異なり、労働者が退職勧奨に応じた場合にはじめて労働契約が終了して退職することになります。
どのような場合に、退職勧奨が行われるの?○ 解雇をするための要件が非常に厳しいことから、解雇を行った場合の訴訟等によるリスクを回避するために利用されます。
○ 現実には、退職金を上乗せする等の条件を提示し、事実上労働者に辞めてもらうために利用されることが多いです。
○ 懲戒解雇事由が認められる場合において、労働者の再就職の不便に配慮して利用される場合もあります。
希望退職の募集と退職勧奨の違いは?○ 希望退職の募集が消極的に労働者の応募を待つのに対し、退職勧奨は積極的に労働者に退職の動機付けを行います。
○ 希望退職の応募がなかった場合に、特定の人に対して退職しませんかと退職勧奨を働きかけることもあります。
退退職勧奨を強制してもいいの?いいえ。
○ 退職推奨はあくまで労働者の自由意思によって退職するものであり、その回数、方法等は通常必要な限度にとどめられるべきです。執拗に多数回にわたり退職推奨を上司が行うことは、不当に退職を強要することになりかねません。
○ 労働者が退職に応じる意思のないことを明確にしたにもかかわらず、それ以上推奨すれば強制となります。退職推奨の限界を超えた推奨行為は、不法行為として慰謝料請求の対象になります(全日空退職強要事件:大阪高判平成13年3月14日)。
退職勧奨によって退職届けを出せと言われている。どうすればいいの?○ 労働者の意思に反して退職届の提出を求められている場合には、断固として拒否しましょう。
○ 会社に対しては、「退職届けは出せないので、解雇ならば解雇通知書を出して欲しい。」と告げると後で解雇無効を争いやすくなります。
退職しないと伝えたのに退職勧奨を続けて来る。弁護士さん、どうすればいいの? ○ 労働者が使用者(会社)側に対して退職意思のない旨伝えているにもかかわらず、使用者(会社)からの退職勧奨が止まないこともよくあります。この場合には、内容証明郵便等で退職勧奨を止めるように通告すると良いでしょう。
○ 違法な退職勧奨に対しては、弁護士名で通告すると効果があります。
○ また、内容証明後にも退職勧奨が続く場合には、差止めの仮処分を申立てる方法もあります。
○ どちらにしろ、違法な退職勧奨に対しては、弁護士に相談することをお薦めします。
退職したくなかったのに上司の「自ら退職しないと懲戒解雇をする。その場合退職金も出ない。」という発言に騙されて退職願を出してしまった。弁護士さん、もう取り消せないの? ○ 虚偽の告知、あるいは、事実の秘匿等により退職勧奨を行った場合には、それにより退職を承諾したとしても錯誤により無効となる場合があります。
○ 本件のように、懲戒事由がないにもかかわらず、「退職しなければ懲戒解雇する。」と解雇事由があると思わせながら退職勧奨がなされた場合には、「詐欺」や「錯誤」によって退職届の提出を取り消すことが可能です。
○ 解雇処分を受けるべき理由がなかったのに、退職推奨などにより解雇処分に及ぶことが確実であり、これを避けるためには自己都合退職をする以外に方法がなく、退職願を提出しなければ解雇処分にされると誤信した結果、退職合意承諾の意思表示をした事例において、退職合意承諾の意思表示には法律行為の要素に錯誤があったとして無効と判断した裁判例があります(昭和電線電纜(らん)事件:横浜地裁川崎支部平成16年5月28日)。
○ 違法な退職届け提出を取り消すためには、弁護士にご相談下さい。
退職したくなかったのに何度も呼び出されて根負けして退職願を出してしまった。弁護士さん、もう取り消せないの? ○ 意に反する退職を強要することは、「強迫」(民法96条)にあたります。退職届を出したこと自体が無効になります。
○ 例えば、個室に閉じ込められ長時間にわたる執拗な退職勧奨を受けたりし、精神的に追い込められて意に反して退職届を提出した場合には、例え、自らの退職届を出していたとしても無効になる可能性は充分あります。
○ 違法な退職届け提出を無効にするためには、弁護士にご相談下さい。
退職勧奨によって意に反して退職届を出してしまった。弁護士さん、まずは、何をしたらいいの? ○ まずは、提出した退職届が自己の意思に反して提出させられたものであることを会社に通告しましょう
○ その上で、違法な退職勧奨があったことを争うために、弁護士に相談することをお薦めします。
違法な退職勧奨を受けた。弁護士さん、退職勧奨に対して、損害賠償できるの? ○ 違法な退職勧奨を受けた場合には、違法な退職勧奨によって被った苦痛に対して不法行為に基づく損害賠償請求が認められる場合があります。
○ 判例では、退職勧奨の手段・方法が社会通念上の相当性を欠く場合において、損害賠償を認めたものがいくつもあります。
○ もっとも、退職勧奨自体が違法行為にというわけではないため、退職勧奨の全てが違法行為になるわけではありません。退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、使用者(会社)側が、直ちに、退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではなく、また、退職勧奨に応ずるか否かにつき再検討を求めたり、翻意を促したりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でなされたものでない限り、当然に許容されるものです(東地平23.12.28日本アイ・ビー・エム事件)。
○ 判例では、退職勧奨の回数やその期間、使用者(会社)側の言動、拒絶の意思表示を示しているにも関わらず繰り返されているか等によって判断されております。
○ 損害賠償できるかは、事案によって異なりますので、弁護士にご相談下さい。
