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雇止めとは?解雇との違いや雇止めされた場合の対処法を解説

2026/06/13(土)

雇止めとは?解雇との違いや雇止めされた場合の対処法を解説

「期間の定めのある契約社員ですが、会社から、契約を更新しないといわれました。契約も何度も更新されてきたし、他の従業員からの評価も良かったので納得がいきません。」「契約社員として会社に入ったときは正社員登用もあるといわれていて、これまで契約更新を繰り返しながら5年以上働いてきました。そろそろ正社員になれるかと思っていたら、会社から契約を更新しないといわれてしまいました。これから転職活動するのも大変です。どうすればよいでしょうか?」

派遣社員や契約社員として働いている方から、このような雇止めについての相談を頂くことが多くあります。雇止めは原則として違法ではありません。しかし、不当な理由で雇止めを行う場合、無効になる可能性があります。また、無期転換権という期間の定めのない雇用契約を締結している契約社員を守る権利があります。さらに、契約の更新を期待していた理由がある場合にも契約社員が保護されることがあります。

本記事では、「雇止め」について、以下の点を中心に解説します。

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雇止めとは。無期転換権とは。

ここでは、まず「雇止め」とは何か、及び2013年に施行された改正労働契約法で新設された「無期転換権」と雇止めの関係についてご説明します。

雇止めの定義

雇止めとは、期間の定めのある労働契約(労働基準法第14条1項・労働契約法第17条)の満了時に、会社側の意思で契約を更新させずに終了させることをいいます。

「雇止め」という言葉は、法律上の用語ではありません。有期労働契約の満了時に「当事者双方の意思によって」契約を終了する場合と、会社側が一方的に契約更新を拒否する場合とを区別するために、後者に対して一般的にこの言葉が使われています。

無期転換権との関係

雇止めについては、2013年の改正労働契約法施行により新設された「無期転換権」との関係で近年新たな問題が生じています。

「無期転換権」(労働契約法第18条1項)は、同一の使用者との間での有期労働契約が更新され続け、通算契約期間が5年を超えた場合には、当該労働者の申込みをもって無期労働契約への転換が認められるという制度です。つまり、同じ会社で契約社員として、契約更新を繰り返しながら5年以上働き続けた場合、その契約社員が「正社員になる」旨の申込をすれば、会社はその申込を拒否できないことになります。

この制度の新設により、非正規労働者が正社員として雇用される可能性が広がりました。その一方で、企業側が無期転換権を行使させないために、契約期間が5年に近づいたタイミングで雇止めするといった問題が生じています。

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雇止めと解雇の違い

「雇止め」という言葉を耳にすることはよくありますが、会社が一方的に雇用契約を終了するものだとすると、「解雇」とはどのように違うでしょうか。

ここでは、雇止めと解雇の違いについて解説します。

契約を終了させるのが、強制できるかどうか

雇止めと解雇とは、会社(雇用主)がその一方的な意思によって強制的に労働契約を終了する、つまり労働者に対して「その会社での仕事をやめさせる」点で共通しています。両者の違いは、会社が労働契約を終了させるのが、契約期間が来たから終了するのか、それとも会社側から強制的な終了なのかにあります。

解雇の場合は、①期間の定めのない労働契約、または②有期労働契約のいずれかの「途中」で会社が契約を解除することになります。これに対して、雇止めの場合は会社が「有期契約の満了時点」で契約を更新しない旨の意思表示を行います。言い換えれば、解雇の場合は労働契約を終了するのが、有期無期を問わず「契約の途中」であるのに対して、雇止めの場合は有期契約期間が満了した時点である点で異なることになります。

解雇のほうが認められる条件がより厳しい

解雇と雇止めを比較すると、解雇の場合は労働者にとって予期しない時点で仕事をやめさせられることになるため、受ける不利益がより大きくなるといえます。そこで、労働者の利益を保護するため、解雇に対しては労働関係法令上、以下のような厳格な要件が課されています。

  1. 労働者を解雇する場合は、労働契約を終了させる日の30日以上前に予告するか、予告しない場合はその労働者の平均賃金の30日分以上を支払うことが義務づけられています(労働基準法第20条)。
  2. また、法律上「合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」は解雇権の濫用にあたり、解雇は無効になります(労働契約法第16条)。
    同条は、不当解雇を争う裁判例で蓄積された「解雇権濫用の法理」を明文化したものです。
  3. さらに、労働者の国籍・女性労働者の出産などの不合理な差別を理由とする解雇や、労働基準監督署への告発などの法律上の権利行使を理由とする解雇が法令により禁止されています。
  4. 有期労働契約においては、期間満了前の解雇は「やむをえない事由がない限り」禁止されています(労働契約法第17条1項)。
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雇止めが無効になるケース

本章では、雇止めの有効性を判断する上で法律上の基準となる「雇止めの法理」及び、雇止めの法理に基づいて雇止めの違法性を判断するための基準を解説します。

雇止めの法理とは

「雇止めの法理」は、雇止めについて法律上の制限を課す判例上のルールです。

雇止めが行われるのは契約期間満了時であるため、解雇制限に関する労働契約法第16条は、雇止めには適用されません。しかし、労働問題の裁判において「有期契約の更新が繰り返されていたケースでの雇止めの効力を争う判例」が蓄積される中で、「雇止めの法理」が形成されていきました。そして2012年の労働契約法改正時に、雇止めの法理を明文化した第19条が新設されました。

労働契約法第19条によると、労働者が有期労働契約満了後、速やかに契約更新の申込みをした場合において、以下の要件を全て満たす場合には、会社は労働者の申込みを拒否できません。

①以下のいずれかに該当すること
  • 機関の定めのある労働契約が反復更新されて、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった(同条1号)
  • 期間の定めのない契約と実質的に異ならないとまではいえないものの、雇用関係継続への合理的な期待が認められる(同条2号)
②雇止めが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないこと

雇止めの違法性の判断基準

雇止めの法理が適用される(雇止めが違法となる)か否かは、厚生労働省「有期労働契約の締結、及び雇止めに関する基準」に基づき、以下の基準に基づいて判断されます。

  • 契約締結時の明示事項(雇用契約書に更新の有無・判断基準を記載すること)
  • 雇止めの予告
  • 雇止めの理由の明示
  • 契約期間についての配慮

1 雇用契約書に更新の有無・判断基準の記載があるか

まず、「雇用契約書に更新の有無・更新するか否かの判断基準を明示していること」が挙げられます。

「更新の有無の明示」とは、次のいずれかを明確に記載することをいいます。

  • 契約期間満了時に自動的に更新する
  • 契約を更新する場合がある
  • 契約の更新は行わない

「判断基準の明示」とは、「更新の有無」について、「更新する場合がある」旨の記載がある場合に、どのような基準によって更新の有無を判断するかを明確に記載することです。

判断基準としては、次のものが挙げられます。

2 雇止めの予告が行われたか

以下の条件のいずれかに該当する場合は、契約期間満了の30日前までに雇止めの予告をする必要があります。

  • 継続勤務期間が1年を超えている
  • 契約を3回以上更新している
  • 契約期間が1年を超える

3 雇止めの理由の明示

雇止めの予告をした場合、労働者は雇止め理由証明書の発行を請求できます。労働者から請求があった場合は、会社は遅滞なく証明書を交付しなければなりません。

雇止め理由としては、以下のものが挙げられます。

  • 前回の契約更新時に、本契約を更新しない旨の合意があった
  • 契約締結の当初から更新回数の上限を設けており、本契約がその上限にあたる
  • 当該労働者が担当していた業務が終了・中止した
  • 会社の事業縮小により人員削減の必要が生じた
  • 当該労働者が業務を遂行する能力が十分ではないと認められる
  • 当該労働者に職務命令違反行為、無断欠勤等の勤務態度不良

4 契約期間についての配慮

厚生労働省は「使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできるだけ長くするよう努めなければならない」としています。

このように、既に契約の更新が行われ、かつその会社で一定期間以上雇用されている場合は、会社は契約期間等に配慮する義務があります。

参照 厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001249464.pdf

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雇止めされた際の対処法

本章では、雇用主や派遣会社に雇止めされてしまった場合にとることができる対処法を解説します。

会社に雇止めの理由を確認する

前述のように、雇止めの対象となる労働者との契約状況が一定の条件に該当する場合は、契約期間満了の30日前までに雇止めの予告をする必要があります。予告が行われた場合、雇止め理由証明書の発行を請求できます。労働者から雇止め理由証明書の請求があった場合、会社は遅滞なく交付しなければなりません。

弁護士に相談する

雇止めの撤回を求める、または損害賠償や未払い残業代を請求したいという場合は、弁護士への相談をおすすめします。

弁護士に相談すると費用がかかりますが、多くの法律事務所では初回法律相談または初回法律相談の一定の時間を無料で行っています。無料相談の時間内で、問題解決の見通しや、弁護士費用見積もりなどを詳しく聞くことができます。相談したうえで、弁護士に依頼するかどうかを検討しましょう。ウカイ&パートナーズ法律事務所では、雇止めを含む労働問題の相談につき、30分無料相談が可能です。労働問題に知見のある弁護士が対応致しますので、雇止めの相談をしたい方は、お気軽にご相談下さい。

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雇止めの効力を争う場合

会社に対して雇止め撤回を求める場合は、以下の方法をとりましょう。

1 証拠を揃える

会社との交渉や労働審判・訴訟に備え、雇止め理由証明書とあわせて、次に挙げる証拠を可能な限り揃えましょう。

  • 雇用契約書
  • 労働条件通知書
  • 勤続年数や契約更新回数を証明できる書類
  • 契約更新手続きの内容がわかる書類
  • 契約更新を期待させる会社の言動があったこと(書面を含む)を証明できる資料
  • 雇止めに関しての会社との交信履歴(メールや通知書等のコピー)

2 会社と交渉する

会社から雇止め理由証明書の発行を受けたら、会社に交渉を申し入れ、従業員の地位確認または雇止め無効やバックペイを求めて話し合いを行います。

3 労働審判・訴訟を通じて雇止めの効力を争う

会社との交渉が成立しなかった場合は、労働審判の申立てを行うか、民事訴訟を提起することになります。

①労働審判

雇止めの無効主張は「労働紛争」にあたるため、訴訟とは別に労働審判制度を利用できます。

労働審判では、初回の審理を経て審判員が「話し合いによる解決の見込みがある」と判断した場合は調停手続、それが難しいと判断された場合は審判により解決策の提示が行われます。

労働審判には、以下のようなメリットがあるといわれています。

  • 原則として期日3回で審理が終了するため、訴訟に比べて早期の問題解決が可能
  • 裁判官及び、労働者側と会社側の双方から選ばれた労働審判員によって、同様の事例に鑑みた解決策の提案を受けられる
  • 審理が非公開で行われるため当事者のプライバシーが守られる

一方、以下の点がデメリットとして挙げられます。

  • 審判結果に対して当事者の一方が異議を申し立てた場合や、労働審判委員会の判断で労働審判を終了した場合、(さらに時間と労力のかかる)訴訟を行わなければならない。
  • 早期解決を目指すために譲歩を求められることが多い

②民事訴訟

労働審判で解決できなかった場合、または労働審判申立てを行わない場合は、訴訟により雇止めの効力を争うことになります。交渉の段階で会社との歩み寄りが難しいと思われる場合は、労働審判を経ずに訴訟を提起するのが得策です。なお、請求のうち、金銭支払請求(未払い賃金等)の請求額合計が140万円以下の場合は簡易裁判所、140万円以上の場合は地方裁判所に訴訟提起します。

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雇止めの効力を争わない場合

本章では、雇止めの無効を主張することを前提に対処法を説明しています。一方、雇止めの効力を争わず、新たな仕事を探す場合は、失業保険給付を受けながら再就職活動を進めることもあるでしょう。

1 雇止めは会社都合退職か自己都合退職か

雇止めされた場合、その労働者が以下の条件を満たしていれば、再就職までの間失業保険(雇用保険の基本手当)を受けることができます。

  • (原則)離職の日以前の2年間で、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある
  • (例外)やむを得ない不可避の事情で離職したと認定された場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上ある

ここで、雇止めによる離職が「会社都合退職」(以下「特定受給資格者」)にあたるか、「自己都合退職」(同「特定理由離職者」)にあたるかが問題となります。どちらに該当するかによって、失業保険の受給開始時期や受給できる日数が異なるためです。特定受給資格者に該当すれば、離職日の7日後から、雇用保険の加入期間に応じて最大330日間失業保険を受け取れます。一方、特定理由離職者に該当すると、受給期間は離職日の2か月後から、雇用保険の加入期間に応じて90日間~150日間となります。

雇止めにより離職する場合、まず「3年以上雇用されていた」及び「それまでの更新回数や更新手続き等の状況からみて更新を期待していた」場合には、特定受給資格者に該当します。また、雇用期間が3年未満であった労働者が雇止めにより離職した場合は、原則として特定理由離職者に該当します。いいかえれば、同じ会社で契約更新を繰り返しながら3年以上働き、更新を期待していた場合は「会社都合退職」、働いていた期間が3年未満であった場合は「自己都合退職」の扱いになります。

2 失業保険は雇止めの効力を争う場合も受け取れる

なお、雇止めの無効を主張して会社と交渉あるいは労働審判・訴訟で争う場合も、失業保険の給付を受けることは可能です。ただし、会社が雇止めを撤回した場合や、雇止め無効の判決が確定した場合は、給付金を返還しなければなりません。

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雇止めが無効とされた裁判例

雇止めが無効になるのは、契約状況が①労働契約法第19条1号(契約状況が実質的に無期契約化していた)・または2号(契約更新への期待を保護できる)のいずれかに該当し、かつ②雇止めを行うことに客観的合理性と社会的相当性が認められない場合です。本章では、同法第19条1号該当(実質無期契約タイプ)と同2号該当(期待保護タイプ)に分けて、雇止めが無効とされた裁判例をご紹介します。

参照 
厚生労働省「期限の定めのある労働契約の雇止めに関する裁判例」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/12/dl/s1211-14g.pdf

厚生労働省「たしかめよう労働条件」裁判例7-2.有期契約・雇止めに関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/hanrei/taisyoku/yatoidome.html[1.1]

実質無期契約タイプ

実質無期契約タイプにあたる裁判例として、以下の事件が挙げられます。この事件は、後に労働契約法改正により明文化される「雇止めの法理」が形成される上で特に重要なケースとなりました。

1 東芝柳町工場事件(最高裁第一小法廷1974年7月22日付判決)

①事実の概要

(1)Xら7名は、Y社との間で「契約期間2か月」と記載された臨時従業員としての労働契約書を取り交わした上で基幹臨時工として雇入れられ、それぞれ5回から最多の者で23回にわたって契約更新が行われていました。

(2)Y社の基幹臨時工は、採用基準、給与体系、労働時間、適用される就業規則等において本工(正社員)と異なる取扱いをされ、本工の労働組合に加入できず、労働協約の適用もない一方で、従事する仕事の種類や内容の点で本工と異ならないものでした。また、基幹臨時工が2か月の契約期間満了によって、更新されずに雇止めされた例はなく、ほとんどが長期間にわたって継続雇用されていました。

Y社の臨時従業員就業規則(臨就規)の年次有給休暇の規定は1年以上の雇用を予定しており、1年以上継続して雇用された臨時工は試験を経て本工に登用されることになっていました。試験で不合格になった場合も、相当数が引き続き雇用されていました。

(3)Xらの採用に際しては、Y社側に長期継続雇用や本工への登用を期待させるような言動があり、Xらも継続雇用されるものと信じて契約書を取り交わし、本工登用を強く希望していました。また、契約更新にあたっては、必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続きがとられていませんでした。

(4)Y社が、不況に伴う業務上の都合を理由にXらを雇止めしたため、Xらが雇止めの無効を主張して訴えを提起しました。

②判決の骨子
(1)【解雇制限に関する労働契約法第16条を類推適用すべきだとのXらの主張について】

契約を反復更新することで基幹の定めのない契約と実質的に異ならない状態となった場合には、雇止めの意思表示は実質において解雇の意思表示に他ならないため、解雇に関する法理(客観的合理性・社会的合理性がなければ解雇は権利濫用として無効となる)を類推すべきである。

(2)【労働契約法第16条の類推適用により雇止めを無効とすべきだとのXらの主張について】

就業規則に解雇事由が明示されている場合は、解雇は就業規則の適用として行われるものであり、従ってその効力も解雇事由の存否によって決せられる。しかし、解雇事由に形式的に該当する場合でも、それを理由とする解雇が著しく苛酷にわたる等相当でないときは、解雇権を行使できないものと解すべきである。

この点、本件臨就規第8条はY社の期間臨時工の解雇事由を列記しており、同条3号は「契約期間の満了」を解雇事由として掲げている。しかし、本件各労働契約が、期間の終了ごとに当然の更新を重ねて実質上期間の定めのない契約と異ならない状態にあったこと、Y社における期間臨時工の採用、雇止めの実態、作業内容、そしてXらの採用時やその後におけるY社側の言動に照らすと、本件労働契約においては「単に期間が満了した」という理由だけでは雇止めを行わず、Xらもこれを期待、信頼し、このような相互関係の下に労働契約関係が存続、維持されてきたというべきである。

そして、このような場合には、「経済事情の変動により剰員を生じる等Y社において従来の取扱いを変更して右条項を発動してもやむを得ないと認められる特段の事情がない限り、期間満了を理由として雇止めをすることは、信義則上からも許されない。しかるに、この点についてY社は何ら主張立証していない。

もっとも、臨就規則第8条は、契約期間中の解雇事項を列記しているから、これらの事由に該当する場合には雇止めも許されるというべきである。しかし、この点につき原判決は、Y社の主張する本件各雇止めの理由がこれらの事由に該当しないとしており、右判断はいずれも相当である。そうすると、本件雇止めは臨就規則第8条に基づく解雇としての効力を有するものではない。

期待保護タイプ

期待保護タイプに分類できる裁判例として、以下の事件が挙げられます。

1 博報堂事件(福岡地裁2020年3月17日付判決)

①事実の概要

(1)大卒の新卒採用で契約期間1年の契約社員として1988年4月にY社に入社したXは、Y社で29回契約を更新しながら雇用され続けてきました。2013年までは、更新日前後に渡された契約書に署名押印するのみで契約が更新されていました。

(2)その後、Y社は2008年に契約社員就業規則を改訂し、有期契約の通算期間が5年を超える場合原則として契約を更新しないとする「最長5年ルール」を設けていました。Xは通算期間が5年を超えていたので当初は同ルールの適用対象外でしたが、2013年4月の改正労働契約法施行に伴い、Xに対しても同月を起算点として同ルールが適用されることになりました。Xは、「2018年3月31日以降は契約を更新しない」旨の条項(不更新条項)が付された2013年4月1日付の雇用契約書に押印しました。Y社が同時期に作成した目標管理シートの目標達成度(勤務成績評価)は、2013、2014、2016、2017年度は「期待水準通り」(2015年度は「記載なし」)となっていました。

(3)2017年2月、Y社は契約更新前の面談において、2018年3月をもって契約を終了する旨をXに伝え、同年3月に不更新条項付きの雇用契約書を渡しました。Xは福岡労働局に相談して、2017年12月、Y社代表者宛てに雇用継続の希望と雇止め理由証明書の送付依頼などを伝える書面を送付しました。また福岡労働局長は、2018年3月9日、Y社に対して、「無期転換回避を目的とした無期転換申込権発生前の雇止めは、労働契約法の趣旨に照らして望ましくないため慎重な対応を求める」旨の助言を行いました。

(4)Y社は、2018年3月30日、Xに対して契約を終了する旨を伝えました。XはYに対して、雇用契約上の権利を有する地位確認、賃金の支払い等を求めて訴えを提起しました。

②判決の骨子
(1)【本件の契約終了は雇止めではなく合意による終了契約であるとするY社の主張に対して】

契約終了の合意の認定には慎重を期する必要があり、Xの明確な意思が認められなければならない。不更新条項が記載された雇用契約書に署名押印することは、被用者にとってはこれを拒否すれば契約を更新できないことを意味する。このため、署名押印をもってXが契約終了の「明確な意思を表明した」とみるのは相当でない。むしろ、Xは労働局に相談するなどの行動をとっている。以上からすれば、本件雇用契約は合意によって終了したものと認められず、Y社は契約期間満了日にXを雇止めしたものというべきである。

(2)【労働契約法第19条1号の適用の可否について】

本件雇用契約は、約30年にわたり29回も更新されているが、2013年以降は、毎年契約更新通知書を交付し面談を行うようになったこと等から、「無期雇用契約と同視する」のはやや困難であり、労働契約法第19条1号に直ちには該当しない。

(3)【同条2号の適用の可否について】

Y社は、Xの新卒入社以降2013年まで、形骸化した契約更新を繰り返してきたものである。この時点で、Xの契約更新に対する期待は相当に高く、合理的理由に裏付けられたものというべきである。Y社は2013年以降、Xを含めて最長5年ルールの適用を徹底しているが、業務実績に基づく更新という一定の例外が設けられており、Xの高い更新期待が大きく減殺されたとはいえない。Xの更新期待は、労働契約法第19条2号により保護されるべきものである。「2013年以降の契約書等において、2018年3月以降の不更新を確認しているから更新の合理的期待はない」とのY社の主張は、それ以前の契約更新の状況等を顧みないものである。

(4)【雇止めの客観的合理性・社会的相当性の有無について】

Xの雇止めには、Xの更新期待を前提としてもなお雇止めを合理的であると認めるに足りる客観的な理由が必要である。この点、Y社の主張する「人件費の削減」や「業務効率見直しの必要性」という一般的な理由は、合理性を肯定するには不十分である。Xのコミュニケーション能力の問題については、雇用継続が困難であるほど重大なものとは認めがたく、Y社が適切な指導を行ったともいえない。本件雇止めは、客観的に合理的で社会通念上相当とは認められないから、Y社は従前の有期雇用契約と同一の労働条件でXの契約更新の申し込みを承諾したものとみなされる。

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雇止めされたら弁護士にご相談ください

雇止めは、有期労働契約の満了時に行われるため、解雇と比べると「争っても主張が認められないのでは」と思われるかもしれません。しかし、過去に雇止めを無効とした判例は数多くあります。会社から雇止めされてしまった場合には、労働問題を専門とする弁護士への相談をおすすめします。

雇止めの撤回、未払い賃金や残業代の請求などは、労働者に認められた法律上の権利です。しかし、労働者個人が証拠を揃えて会社と交渉して、これらの権利を認めてもらうことは容易ではありません。会社が交渉に応じてくれなかったり、顧問弁護士が出てきて一蹴されてしまう可能性もあります。

弁護士に相談することで、弁護士が労働者の代理人として会社と対等に交渉することができます。また、会社側との交渉がまとまらなかった場合でも、訴訟手続をすべて任せられます。ウカイ&パートナーズ法律事務所では、雇止めを含む労働問題の相談につき、30分無料相談が可能です。労働問題に知見のある弁護士が対応致しますので、雇止めの相談をしたい方は、お気軽にご相談下さい。

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まとめ

会社から、予期しない雇止めを通告された場合、次の仕事が決まるまで不安な日々を過ごすことになってしまいます。雇止めが不当だと思えたとしても、会社に雇止め撤回を求めて争うことに時間と労力を使うべきか、早く次の仕事を見つけたほうがよいか迷ってしまうのではないでしょうか。

しかし、同一の使用者との間での有期労働契約が更新され続け、通算契約期間が5年を超えた場合には、労働者の申込みをもって無期労働契約への転換が認められます。また、5年を経過していない方でも、更新回数や更新時の手続きの態様、会社側の言動などから「実質的に無期契約と同様になっていた」かつ、または「労働者側が契約更新に期待する理由が十分にあった」といえる場合は、雇止めは労働契約法第19条に違反する可能性があります。

雇止めが不当だと思える場合は、とるべき方法について弁護士にご相談ください。

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する全弁護士が、雇止めが有効か無効かを検討・判断したうえで、とりうる対処法について懇切丁寧にお答えします。当事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。雇止めに遭ってお困りの方は、ぜひ当事務所の無料法律相談をお申込みください。

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