
「ある日突然、会社から面談に呼び出され、退職届を渡されて署名するよう迫られました。会社を辞めたくないのでなんとか保留して帰宅しましたが、明日以降また退職届を出せと言われるかもしれません。また、退職を拒否すると解雇されるのではないか、解雇までいかなくても嫌がらせをされるのではないかと不安です。」退職勧奨に関して、当法律事務所では、このように「退職届を出せと強要された」という相談を頂くことがよくあります。退職勧奨は自発的な退職を促す行為であるため、それ自体は違法ではありません。しかし、退職届を出せと強要することは違法になる可能性があります。また、退職届を出せと迫られても労働者が断り続けることは可能です。
本記事では、会社側から退職勧奨を受け、退職届を出せと強要された場合の対処法について弁護士が解説します。
退職勧奨は、従業員の自発的な退職を促す行為です。日本では解雇に対して法令による規制が厳しく、裁判で不当解雇が認められるケースも多いことから、辞めさせたい従業員に対して退職勧奨が行われることが多くあります。
退職勧奨でよくあるケースとして、会社が辞めさせたい従業員を面談に呼び出して退職届を提示し、「今ここでこの退職届に署名して出してください」と迫るという方法をとるということがあります。退職届への署名・提出を迫られた労働者は、「従わなければ解雇される」「拒否しても事実上会社にいられなくさせられてしまうのでは」等の不安にかられて、言われたとおりにしてしまうかもしれません。
しかし、退職届を出せと強要されたとしても、辞めたくないのであれば絶対にその場で書かない、あるいは渡さないようにしてください。状況にかかわらず、一度退職届を出してしまうと、「労働者が自己の意思で退職した」とみなされてしまいます。退職の合意を取消すことは完全に不可能というわけではありませんが、弁護士が介入したとしても取消は非常に難しいことが多いです。仮に退職届を出してしまった場合、会社側が行った退職勧奨行為が違法な退職強要にあたると立証する必要があります。そのためには、面談の一部始終の録音音声等があると良いでしょう。
退職勧奨は原則として違法ではありませんが、退職の同意が「労働者の自由な意思に基づくものとはいえない」場合、違法な退職強要となります。
例えば、以下のような事情がある場合、退職勧奨の違法性が認められる可能性があります。
ここでは、会社に「退職届を出せ」と強要された場合、面談の場ですべきこと、及び面談後に行うことについて解説していきます。
面談で「退職届を出せ」と迫られた時点では、次のような行動をとることをお勧めします。
まず、退職の意思がないことを明確に示すことが大切です。退職勧奨を受けると「自分を辞めさせようとしている会社に居続けても、将来に希望が持てないから転職したほうが良いのでは」等という迷いが出てきて、態度や表情、言葉遣い等に現れてしまいます。しかし、迷いを見せると会社は「退職金を上乗せする」等と持ちかけて、退職を決意させようと仕向けてくるでしょう。
一方、「絶対に辞めません」等の強い言葉や態度で拒否すると、「著しく協調性に欠ける」として解雇される等、会社側が態度を硬化させる可能性があります。「この会社で仕事を続けたいので退職する意思はありません」等、丁寧な言葉遣いで冷静に伝えるようにしましょう。
退職届を出せと強要されていることについて第三者機関に相談したり、慰謝料請求などの法的権利を行使するためには、強要された事実を立証することが必要になります。そこで、退職勧奨に関する会社との面談の記録を残すことをお勧めします。面談日時・内容については、面談時に筆記する他、可能であればスマホやICレコーダーで録音してください。
録音する場合、必ずしも会社側の同意を得る必要はありません。同意を得ようとするとさらに態度を硬化させる可能性があるほか、業務用パソコン・スマホを取り上げる等、より証拠を得ることが難しい方法で退職を強要するおそれもあるためです。これに対して「無断で録音すると、それが会社にばれた時に解雇等の重大な不利益を得るのではないか」と思われるかもしれません。しかし、自身が参加している会話の録音は盗聴にはあたらず、原則として適法です。また、個人情報保護法に違反することもありません。実際に、労働審判や裁判で無断録音が証拠として採用されることはよくあります。面談の録音の適法性等、詳細については弁護士に確認することをお勧めします。
面談の後は、次のような対処を行ってください。
退職勧奨の違法性や、労働者が受けた損害を証明するための証拠を整理しましょう。
また、退職の意思がないことについて、書面で再通知することをお勧めします。通知書には以下の内容を記載した上で、内容証明で送付してください。内容証明郵便で送るのが難しい場合には、メール送信でも構いません。通知書作成・送付については、弁護士に依頼すると会社からの退職勧奨が止まる可能性が高くなります。
退職勧奨で退職届を出せと強要された場合、会社側の威圧に押されて退職届を出してしまうと、退職合意の取消は非常に難しくなります。しかし、退職届への署名を断るか、最低でも保留して持ち帰ることができれば、まだ退職を認めたことにはなりません。退職届を出せと強要されている場合は状況がひっ迫しているので、退職勧奨中止を求める通知書を弁護士名義で送ってもらうのが得策です。退職届の提出を断るか保留した上で、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する弁護士全員が、相談者の方が受けている退職勧奨の適法性について検討し、とりうる対処法について懇切丁寧にお答えします。当法律事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。「退職したくないと言っているのに退職届を出せと迫られた」等、退職勧奨で退職届を出せと強要されてお困りの方は、ぜひ当法律事務所の無料法律相談をお申込みください。
