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残業代が未払いの場合に遅延損害金も請求できるの?未払い残業代の遅延損害金、さらに、「付加金」について弁護士が解説

2026/07/18(土)

残業代が未払いの場合に遅延損害金も請求できるの?未払い残業代の遅延損害金、さらに、「付加金」について弁護士が解説

残業代が未払いになっている場合、労働者は労働基準法第37条に基づいて未払い分の残業代の支払いを請求できます。この未払い分の残業代を請求するにあたって、未払い額と併せて遅延損害金も請求できることを御存じでしょうか。また、会社が残業代の支払いを認めてくれない場合、最終的には訴訟提起して、裁判で請求することになります。訴訟で残業代請求する場合、未払い残業代と遅延損害金に加えて、未払い残業代と同額の「付加金」の請求ができることは、あまり知られていないようです。そこで、本記事では、未払い残業代を請求する際の「付加金」及び「遅延損害金」について、以下の点を中心に弁護士が解説します。

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付加金とは

付加金とは、未払い残業代を訴訟で請求する際に、併せて請求できる金銭をいいます(労働基準法第114条)。訴訟で請求できる付加金の上限は、請求する残業代と同額です。たとえば、未払いの残業代総額が100万円の場合、残業代100万円にプラスして、最大で付加金100万円を請求できることになります(ただし、請求した付加金の全額が認められるとは限りません)。

付加金は、残業代つまり時間外労働・休日・深夜労働の割増賃金の請求の場合以外にも、会社が以下の賃金・手当を支払わない場合に請求できます。

  • 解雇予告手当(労働基準法第20条)
  • 休業手当(同第26条)
  • 年次有給休暇中の賃金(同第39条9項)
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付加金の発生要件

付加金の支払いを受けるためには、以下の要件を満たしていることが必要です。

労働基準法違反があること

まず、使用者(会社)側に残業代未払い等の労働基準法違反の事実があることが前提となります。ただし、付加金の請求があっても、支払いを命じるか否かは裁判所の裁量に委ねられています。

判決により命じられること

付加金の支払いを受けるためには、労働者が残業代請求訴訟を提起し、審理を経て残業代とともに付加金の支払いを命じる判決を受けることが必要です。後述の遅延損害金と異なり、付加金は訴訟の判決以外の紛争解決手続(労働審判、裁判上の和解、調停、裁判外の示談交渉)で請求することはできません。特に、裁判上の和解では残業代請求が相当程度認められる(つまり、請求が認められないリスクは回避できる)一方で、付加金の支払を受けることはできないことに注意が必要です。訴訟提起した場合に裁判官から和解を促されることがあるため、和解のメリットとデメリットを理解しておきましょう。

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遅延損害金

未払い残業代を請求する場合、併せて遅延損害金も請求できます。ここでは、未払い残業代に遅延損害金が発生する理由や、遅延損害金の利率について解説していきます。

未払い残業代に遅延損害金が発生する理由

残業代つまり、時間外労働・休日労働・深夜労働に対する割増賃金は、当該残業を行った月の給与の一部として、所定の期日(翌月末等)に支払われなければなりません。たとえば、給与月末締め・翌月25日払いの会社で2025年11月に20時間残業した場合、会社は11月分の基本給等と残業代を、12月25日に支払う義務(賃金債務)があります。しかし、12月25日に支払われた給与に残業代が含まれていなかった場合、残業代については翌26日から賃金債務の履行遅滞(民法第412条1項)が生じます。

履行遅滞が生じた場合、債務者は遅滞の責任(民法第412条1項)つまり損害賠償義務を負います。金銭債務の場合、この損害賠償義務、つまり債権者に対して損害賠償として支払う金額は、原則として「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって」定められます(同第419条1項)。未払い残業代の場合、「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点」は、残業代が支払われるはずであった給料日を指します。この「当該給料日における法定利率によって定められた損害賠償額」は、すなわち未払い残業代に遅延損害金を加えた額となります。

よって、賃金債権の債権者である労働者は、債務者である会社に対して、未払い残業代に加えて遅延損害金を請求できることになります。

未払い残業代の遅延損害金の利率

前項の「当該給料日における法定利率」、つまり未払い残業代の遅延損害金の利率は、在職中と退職後で異なります。これは、在職中の場合は民法が適用されるのに対して、退職後の場合は賃金債権のみに適用される特別法に従うためです。

1.在職中の遅延損害金の利率

在職中の遅延損害金の利率には、金銭債務の履行遅滞(民法第419条1項)に適用される法定利率が適用されます。この法定利率は、2017年改正民法が施行された2020年4月から3年ごとに見直しされていて、2023年4月1日から2026年3月31日までは年3%とされています。

2.退職後の遅延損害金の利率

これに対して、退職後に遅延損害金を請求する場合は、賃金の支払いの確保等に関する法律第6条1項に従い、利率は年14.6%となります。

退職後の遅延損害金の利率が、在職中に比べて大幅に高く設定されているのは、退職後の労働者の生活を保護するためです。退職後に未払い残業代を請求する場合、退職時点まで残業代の未払いが続いていたことを意味します。賃金債権は3年で消滅時効にかかるため、退職後に請求できる残業代は請求時点から3年前までのものに限られます。しかし、3年前以降(3年分以下)の残業代であっても、遅延損害金と合わせると100万円単位になることが少なくありません。

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未払い残業代の遅延損害金の計算式と計算例

ここで、未払い残業代の遅延損害金の計算式及び、計算例をご紹介します。

1.計算式

未払い残業代の遅延損害金の計算式は以下の通りです。

遅延損害金=支払いが遅延している金額x遅延損害金の利率(3%または14.6%)x遅延している日数/365日(うるう年の場合は366日)

2.計算例

例:給与が毎月15日締め当月25日払いの会社で、6月16日~7月15日までの残業代6万円と7月16日~8月15日までの残業代4万円の合計10万円が未払いになっていた。会社と交渉して、合計額10万円が9月1日に振り込まれることになった。

このケースで、「在職中または退職後に会社と交渉して未払い残業代を請求する」という設定で遅延損害金を計算すると、以下のようになります。

(1)在職中に請求する場合

①6月16日~7月15日の残業代6万円の遅延損害金
①の残業代については、給料日翌日の7月26日~9月1日の38日分の遅延損害金が発生します。
遅延損害金:60,000円x3%x(38日/365日)≒187円
②7月16日~8月15日の残業代4万円の遅延損害金
②の残業代については、給料日翌日の8月26日~9月1日の7日分の遅延損害金が発生します。
遅延損害金:40,000円x3%x(7日/365日)≒23円
遅延損害金合計:①+②=187円+23円=210円

(2)退職後に請求する場合

③6月16日~7月15日の残業代6万円の遅延損害金
遅延損害金:60,000円x14.6%x(38日/365日)=912円
④7月16日~8月15日の残業代4万円の遅延損害金
遅延損害金:40,000円x14.6%x(7日/365日)=112円
遅延損害金合計:③+④=912円+112円=1,024円

付加金に遅延損害金が発生する場合

残業代請求とともに付加金の請求が認められた場合、判決確定日を起算点として付加金に遅延損害金が発生します。利率は年3%(民法第404条2項)です。

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付加金と遅延損害金の請求方法

ここでは、付加金と遅延損害金の請求方法について解説します。

付加金の請求方法

1.訴訟提起の場合のみ請求できる

付加金を請求できるのは、訴訟を提起した場合に限られます。具体的には、裁判所に提出する訴状に、請求金額の内訳として記載します。

2.請求期限に注意

残業代、つまり未払いの割増賃金の請求権は、2025年現在では賃金発生から3年で消滅時効にかかります。これに伴い、付加金の請求権も、賃金債権の発生から3年※を経過すると請求できなくなる点に注意が必要です。

※労働基準法第114条但書では「違反のあったときから5年以内に請求しなければならない」と規定しています。これは残業代請求(賃金請求権)に対する同法第115条と同様、法改正によって従前の2年から延長されたものです。第114条・第115条とも、混乱を防ぐための暫定措置として、当分の間は「3年」とされています。

付加金の請求期限は「除斥期間」と呼ばれ、本体の残業代請求権の「消滅時効」とは次の点で異なります。

(1)相手方が援用しなくても期間経過により権利が消滅する

消滅時効の場合は、時効期間が経過しても、自動的に債権が消滅するわけではありません。債務者側が「消滅時効が完成したために債務を消滅させる」旨の意思表示をすることによって、初めて債権が消滅します。この債務者の意思表示を「援用」といいます(民法第145条)。一方、除斥期間の場合は、債務者が援用しなくても、一定期間経過すると債権が消滅します。

(2)支払い猶予の申入れや一部支払いによっても期間がリセットされない

消滅時効の場合、時効完成前に債務者側が支払いの猶予を求めたり、債務の一部を弁済したりすると、時効期間がリセットされます(時効の更新:民法第 条)。残業代請求の場合、時効期間がリセットされると、その時点から新たに3年の間は消滅時効にかかりません。しかし、除斥期間の場合は、期間をリセットする制度が存在しないため、付加金を請求する場合は必ず本体の残業代発生から3年以内に訴訟で請求しなければなりません。

つまり、除斥期間は消滅時効と異なり、所定期間が経過した場合に債権者に請求できる余地を残す制度が存在しないため、付加金請求権は残業代が発生してから3年で自動的に消滅するということです。

遅延損害金の請求方法

遅延損害金は、未払い残業代の計算時に同時に算出して、未払い残業代と併せて請求します。

1.会社に直接請求する

通常は、会社に対して遅延損害金を記載した残業代の請求書を内容証明郵便で送付します。会社から返答があったら、支払ってもらえるように交渉します。

2.労働審判を申し立てる

会社との交渉がまとまらなかった場合、労働審判を申し立てるか、訴訟を提起して裁判で請求することになります。労働審判は原則として3回の審理で終了するため、訴訟に比べると短期間で解決できるのがメリットです。他方、審判内容の通知を受けてから2週間以内に当事者が異議を申し立てると、審判が無効になります。状況によっては、労働審判委員の判断で訴訟に移行することもあります。これらの場合、労働審判に費やした労力と時間が無駄になってしまうのがデメリットといえるでしょう。

3.訴訟を起こす

会社との交渉や労働審判が成立しなかった場合、未払い残業代を請求する訴訟を提起して、未払い残業代と併せて遅延損害金を請求することができます。また、訴訟を提起する場合は、併せて付加金の請求も可能です。

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会社に残業代を請求したい方は弁護士にご相談ください

残業代が発生するのは、月給制の会社で時間外労働した場合に限られません。支払われる給与以上の残業代が発生しないと誤解されやすい年俸制や固定残業代制、さらに「名ばかり管理職」の場合等でも、残業代請求できるケースが多くあります。残業代請求ができるか知りたい方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。残業代請求について弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。

残業代請求の可否の判断や請求可能な金額の算定をしてもらえる

未払い残業代があると思っても、裁量労働制等で法的に残業代が発生していないこともありえます。また、契約が雇用でなく業務委託の場合は原則として残業代請求は認められないのですが、事情によっては労働者性が認められて残業代請求ができる可能性があります。このように、残業代請求ができるか否かの判断には専門知識と業務経験が必要になります。また、残業代の計算を労働者本人が行うのは容易ではありません。

弁護士に相談することで、個別の事情に沿って残業代請求ができるか否かを的確に判断し、未払い残業代額の合計や、遅延損害金の額を正確に計算してもらうことができます。

証拠収集のアドバイスとサポートが受けられる

残業代請求する場合、残業代が発生する労働時間や、未払いの事実について証拠を揃える必要があります。しかし、労働者が自力で証拠を収集することは困難です。また、年俸制や固定残業代制、裁量労働制等をとる会社では労働時間の管理がきちんと行われていないことが多いため、証拠収集がより難しくなります。

弁護士に相談することで、労働時間の管理が行われていない場合の対処法等も含めて、証拠収集方法について詳細にアドバイスを受けられます。また、会社側が保持している証拠については弁護士が開示請求を行い、会社側が開示しなかった場合は裁判所に対して証拠開示命令を出してもらう等の手段をとることができます。弁護士のサポートによって、証拠収集の壁を乗り越えられれば、解決に向けて大きく前進できるでしょう。

会社との交渉を任せられる

残業代請求にあたっては、会社との交渉が必要になります。しかし、労働者本人が交渉して請求を認めてもらうことは困難です。会社が交渉に応じてくれないことも少なくないほか、顧問弁護士に依頼して一方的に請求を拒否されることもあります。弁護士に交渉代理を依頼することにより、対等な立場で会社と交渉できます。また、転職する場合は、精神的にも負担の大きい交渉を弁護士に依頼することで、転職活動に専念できるのもメリットとなるでしょう。

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、初回30分無料法律相談をお受けしています。残業代請求を希望される方、残業代についてお困りの点やご質問がある方は、お気軽にご相談ください。

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まとめ

残業代請求するタイミングとして、一般的に退職時や退職勧奨を受けた時が良いとされます。この理由として、まず退職を決めた時点であれば、残業代請求したために退職を迫られる等の不利益を受けるおそれがないということがあります。これに加えて、退職時に残業代を請求する場合、在職時に比べて大幅に高い利率の遅延損害金を請求できるというメリットもあります。また、退職時に残業代を請求する場合、訴訟に発展したとしても退職時から3年前以降に発生した残業代と同額の付加金の請求が認められる可能性があります。ただし、金額が大きくなるほど会社に支払いを認めてもらうのが難しくなるため、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する弁護士全員が、未払い残業代の請求について、遅延損害金や付加金の請求の可否や金額も含めて検討・判断し、とりうる対処法について懇切丁寧にお答えします。当法律事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。長期間サービス残業を強いられている方等、残業代でお困りの方は、是非当法律事務所の無料法律相談をお申込みください。

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