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休日労働とは?割増賃金の計算方法や労働基準法違反になるケース

2026/05/01(金)

休日労働とは?割増賃金の計算方法や労働基準法違反になるケースを弁護士が解説

「雇用契約書上、週休2日制なのですが、ほとんど毎週、土曜日か日曜日に出勤しています。その割に休日労働分の支払いが加算されてないです。平日も毎日残業しているので、土日の分は少なくとも割増しの手当が出るはずなのですが。」「警備会社に勤めているのですが、土日祝日も夜間の仕事が入るので、何日何曜日が休日なのかよくわかりません。夜間勤務手当は出ているので、もし休日に夜間勤務していたとして、休日手当は出なくてもおかしくないのでしょうか?」

このように、我々弁護士は、休日出勤している方や、シフト勤務の方等から休日手当についての相談を頂くことが多くあります。労働基準法第37条1項により、「休日労働」に対しては基礎賃金の35%以上の割増賃金の支払が義務づけられています。しかし、会社の休日の中に「労基法第37条1項に該当する休日」と「それ以外の休日」があること等、休日出勤と割増賃金の関係については、あまり知られていないことが多いのではないでしょうか。

本記事では、休日労働について、以下の点を中心に弁護士が解説します。

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休日労働とは

「休日労働」とは、雇用契約上の「休日」に業務を行うことをいいます。一方、休日には労働基準法で付与が義務付けられた休日と、それ以外の休日がある他、「休暇」等の休日と似ている用語もあります。そこで、まず「休日」の種類や、休日と似た用語について解説します。

休日と休暇の違い

「休日」と「休暇」とはよく似ているので混同しやすいのですが、両者の違いは「労働義務の有無」にあります。「休日」とは、もともと労働義務が課されていない日を指します。これに対して「休暇」は、本来労働義務が課されている日の労働義務を免除することをいいます。従って、休日は自動的に付与されますが、休暇については個々の従業員が会社に申請し、会社が認めた場合に付与されるという違いが生じます。なお、年末年始の休暇や8月中旬の休暇が休日にあたるか休暇にあたるかは、個々の会社によって扱いが異なります。会社や事業所が作成したカレンダーに記載されていれば(つまり、月日が固定されていれば)休日、期間と日数だけ決められていて個々の従業員が休む日を選択できる場合等は休暇にあたるといえるでしょう。

法定休日と法定外休日の違い

「休日」には、休日労働の割増賃金の対象となる法定休日と、その対象にならない法定外休日(所定休日)があります。

(1)法定休日

法定休日とは、労基法第35条に基づいて週1回以上、もしくは4週間を通じて4回以上付与された休日をいいます。法定休日の日付や曜日に法律上の決まりはありません。

4週間を通じて4回以上法定休日を付与する制度は「変形週休制度」と呼ばれます。変形週休制度を採用する場合は、就業規則等に「単位となる4週間の起算日」を明記する必要があります(労基法施行規則第12条の2第2項)。

法定休日は、「1日分の時間数(24時間)」ではなく、「暦日」であることが必要です(1948年4月5日基発535号※)。「暦日」とは、午前0時から午後12時までの24時間を指します。ある時刻まで勤務していた労働者が、24時間休んで再び勤務を開始する場合、この24時間が「暦日」から外れている場合はその24時間は「法定休日」とは認められません。従って、このような「24時間休み」を週1日/4週間に4日の法定休日扱いにしている場合、労基法第35条1項違反となります。

※基発:厚生労働省労働基準局長名で発する通達

(2)法定外休日(所定休日)

法定外休日(所定休日)とは、法定休日以外に会社が任意に設定している休日をいいます。法定外休日に労働させた場合は、休日労働の割増賃金は発生しません。ただし、法定外休日の労働時間を含めたその週の労働時間(法定休日を除く)が法定労働時間を超えている場合は、超過した時間分が時間外労働の割増賃金の対象となります。

(3)36協定上の取扱いの違い

36協定とは、労基法第36条に定められた「時間外労働・休日労働に関する労使協定」をいいます。36協定では1か月あたり及び年間の時間外労働の上限時間数を定めますが、法定休日の労働は時間外労働とは別枠の「休日労働」として扱われます。これに対して、法定外休日の労働は時間外労働に含まれます。このことから、実際に行われた時間外労働が36協定で定めた上限の範囲内に留まっているかを確認する上で、法定休日と法定外休日が明確に区別できていなければなりません。

休日労働と休日出勤の違い

「休日労働」という言葉は、労働基準法上の「法定休日に労働すること」を指します。これに対して、「休日出勤」という言葉は、法定休日・所定休日にかかわらず、会社が休みの日に出社して業務を行うことをいいます。従って、前者は法律用語にあたりますが、後者は厳密な定義のない一般的な言葉といえます。

両者の違いは、法定外休日に労働した場合に明確に現れます。法定外休日に会社に出社して労働した場合、一般的には休日出勤したと思うかもしれませんが、労働基準法第35条1項に基づいて35%以上の割増賃金が発生する「休日労働」にはあたらないからです。

振替休日と代休の違い

休日労働させる場合、会社が振替休日または代休を付与することがあります。振替休日と代休は混同しやすいのですが、両者は休日を設定するタイミングや、割増賃金が必ず発生するか否か等の違いがあります。

(1)休日を設定するタイミング

労働基準法上の「振替休日」(休日の振替)とは、休日出勤させる場合に、事前に別の日(労働日)を休日に指定する制度です。これに対して、代休は休日出勤した後に休日を付与することをいいます。つまり、休日を設定するタイミングが休日出勤の「前」であれば振替休日、「後」であれば代休にあたります。

(2)割増賃金が必ず発生するか否か

振替休日の場合、事前に休日が設定されることになるため、週1日または4週間に4日の法定休日が確保されている限り、もともと法定休日であった日に労働した場合でも、原則として休日労働の割増賃金は発生しません。ただし、振替休日を翌週以降に設定した場合、休日労働した日の労働時間がその週の労働時間に加わるため、その週の法定労働時間を超える可能性があります。その場合は、超過分の労働時間に対して割増賃金が発生します。

これに対して、代休の場合、「休日に出勤した代わりの休み」が事後的に与えられるため、法定休日に労働した事実が残っていることになります。これにより、休日が法定休日であった場合は休日労働の割増賃金が発生します。また、法定外休日であった場合も、法定労働時間を超えた場合には時間外労働の割増賃金が発生します。

(3)有給休暇との関係

振替休日・代休ともに無給であるため、従業員からその日を有給休暇扱いにしてほしい旨の申し出があった場合は、有給休暇を優先させる必要があります。有給休暇については、取得資格(勤続年数)やその時点での未消化の有給休暇の有無等、個別に事情が異なるため、申し出がなければ無給の振替休日ないし代休が付与されます。

(4)就業規則による定めは両者とも必要

振替休日、代休ともに、有効に付与するためには就業規則等の会社規程に定めをおく必要があります。ただし、従業員が個別の振替休日ないし代休の付与に対して同意している場合は、会社規程の定めが存在していなくても違法ではありません。

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法定休日の定め方

法律上、法定休日の日数については上記のように「週1日または4週間に4日」と定められていますが、日付や曜日については決まりがありません。現在は多くの企業が週休2日制を採用していますが、使用者側に法定休日を土曜・日曜のいずれにするか特定する義務が課されているわけではありません。判例でも、後述のように土曜日と判断したものと日曜日と判断したものに分かれています。

一方、法定休日を特定しておくことで、休日出勤が労基法第37条1項の休日労働に該当するか否かが明確になり、割増賃金の計算をめぐって労使でトラブルが起こるのを防ぐことができます。厚生労働省側も、就業規則等によって法定休日を特定することを推奨しています。

法定休日の定め方には、①1週間のうち最も後順の曜日にする方法と、②従業員の実際の勤務状況に応じて休日出勤が少ない曜日にする方法等が考えられます。①をとる場合、1週間の始まりの曜日が日曜日・月曜日のどちらになるかが問題となります。この点、現在の労働基準法は「就業規則の定めがない場合」は週の始まりを日曜日としています。週の始まりを日曜日とする場合、①では法定休日は土曜日となります。

実際には、週休2日制で土曜・日曜が休みの会社の多くが、法定休日を土曜日としています。

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会社が休日労働を命じるための要件

労基法第35条により、会社は労働者に対して少なくとも週1日または4週間あたり4日の休日を与えることが義務づけられています。従って、法定休日に労働させることは原則として違法です。

例外的に休日労働を命じることが適法となるのは、次の4つの要件を満たしている場合です。

  • 労使間で36協定を締結していること
  • 休日労働を命じることができる旨が就業規則や雇用契約書で定められていること
  • 休日労働を拒否する正当な理由がないこと
  • 休日出勤を命じることが権利濫用にならないこと

以下、順に見ていきましょう。

労使間で36協定を締結していること

会社が、労働者に対して法定労働時間を超える時間の労働及び法定休日の労働を命じるためには、従業員の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合は従業員の過半数を代表する者)との間で協定を締結することが必要です(労基法第36条1項)。また、所定休日に出勤を命じる場合も、その労働時間が時間外労働にあたる場合は、36協定による取り決めが必要となります。

時間外労働及び休日労働は、以下の事項について36協定で定めた範囲内で認められます。

  • ①時間外労働・休日労働をさせる必要があることの具体的理由
  • ②時間外労働の時間数の上限
  • ③休日労働をさせることができる休日の日数
  • ④法定休日を労働日とする場合の始業時刻及び終業時刻

休日労働を命じることができる旨が就業規則や雇用契約書で定められていること

休日労働を命じることが認められるためには、36協定の締結に加えて、就業規則や雇用契約書に「休日出勤を命じる場合がある」旨を就業規則や雇用契約書で定めておくことが必要です。

休日労働を拒否する正当な理由がないこと

労使間で36協定が締結され、就業規則や雇用契約書で休日出勤を命じることが可能な場合について明記されている場合、労働者は原則として休日出勤の命令を拒否できません。ただし、以下の場合は法律上36協定の適用が除外されるため、休日出勤を拒否する「正当な理由」と認められます。

(1)従業員が18歳未満の場合

従業員が18歳未満の場合は、原則として時間外労働・休日労働及び深夜労働(午後10時~午前5時の時間帯の労働)をさせることができません(労基法第60条1項)。

(2)妊娠中または出産後1年以内の女性従業員から請求があった場合

妊娠中または出産後1年以内の女性従業員から、時間外労働や休日労働の免除を求められた場合は免除する義務があります(労基法第66条2項)。

(3)育児・介護を理由とする請求があった場合(時間外労働の制限)

①以下に該当する従業員から時間外労働免除について申し出があった場合は、時間外労働を免除する義務があります(育児介護休業法第16条の8)。

  • 3歳未満の子どもを養育している従業員
  • 要介護状態にある対象家族※を介護している従業員
    ※配偶者・父母・子・配偶者の父母・同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫

②また、以下に該当する従業員から時間外労働の制限について申し出があった場合は、事業の正常な運営に支障のある場合を除いて、1か月あたり24時間、1年あたり150時間を超える時間外労働及び深夜労働をさせることができません(同法第17条)。

  • 小学校就学前までの子どもを養育している
  • 要介護状態の対象家族を介護している

育児介護休業法による時間外労働の制限は、休日労働については明記されていません。従って、厳密には、上記に該当する従業員に対して法定休日の休日出勤を命じることは、時間外労働の制限に該当しない限り違法とはいえません。

通常、休日出勤が必要になる場合はその週の法定労働時間を超えるケースが多いです。この点で問題になりやすいのは、育児・介護により時短勤務をしている従業員に対して休日出勤を命じる場合です。時短勤務では労働時間が6時間であるため、休日出勤の場合も労働時間は6時間となり、6時間を超えると時間外労働となります。時短勤務の場合は、日々の労働時間が6時間を超えない限り時間外労働は発生しないため、休日出勤させること自体は違法ではありません。しかし、その従業員に休日出勤させなければ業務遂行に著しい支障が出る等の合理的な理由がない限り、育児介護休業法第16条の8ないし第17条に該当する時短勤務従業員に休日出勤を命じるべきではないといえます。

休日出勤を命じることが権利濫用にならないこと

休日出勤を命じることが権利濫用にならないことも要件となります(労働契約法第3条5項)。休日出勤命令が権利濫用になりうる例として、以下が挙げられます。

  • 通常の労働日の勤務で処理できる範囲の業務をさせるために休日出勤を命じる
  • 事前に有給休暇を申請している日に休日出勤を命じる
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休日出勤の賃金の計算方法

休日出勤が発生した場合、賃金の計算方法は以下の通りです。なお、前述のように法定休日の出勤に対して振替休日が与えられた場合は、休日労働の割増賃金は発生せず、法定労働時間の範囲内の時間に対して通常の賃金、時間外労働の時間に対して25%以上の割増賃金が発生します。

法定休日の割増賃金の計算方法

休日出勤をした日が法定休日である場合、以下の式によって割増賃金を計算します。

休日労働の割増賃金:1時間当たりの基礎賃金 × 1.35 × 休日労働の時間数

1時間当たりの基礎賃金:(1か月の総賃金-諸手当※1) ÷ 月平均所定労働時間※2

※1 基礎賃金から差し引く手当の種類:

  • 家族手当(扶養人数に応じて支払うもの)
  • 通勤手当(通勤距離等に応じて支払うもの)
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当(住宅に要する費用に応じて支払うもの)
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金

※2 月平均所定労働時間:年間所定労働時間 ÷ 12か月

【例】

1か月の総賃金:40万円
諸手当の合計:8万円
月平均所定労働時間:160時間
休日労働の時間数:8時間
休日労働の割増賃金:(40万円-8万円)÷160 × 1.35 × 8=21,600円

法定外休日の賃金の計算方法

休日出勤をした日が法定外休日である場合、法定労働時間の範囲内の時間と、法定労働時間を超える時間(時間外労働時間)で計算方法が異なります。

法定労働時間の範囲内の時間:基礎賃金 × 法定内労働時間の時間数

時間外労働時間: 基礎賃金 × 時間外労働時間の時間数 × 1.25

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雇用形態・勤務形態・給与形態ごとの休日出勤の取扱い

労働基準法は、会社の正社員(無期雇用の労働者)に限られず、すべての労働者に適用されます。また、正社員の働き方には定時勤務月給制の他、フレックスタイム制、固定残業代制、年俸制等の様々な勤務形態・給与形態があります。ここでは、雇用形態・勤務形態・給与形態ごとの休日出勤の取扱いについて解説します。

正社員(無期雇用)の場合

(1)年俸制

年俸制とは、年単位で決められた給与を月ごとに支払う給与形態です。年俸制の場合も、月給制の場合と同様に労働基準法が適用され、休日出勤に対しても必要な割増賃金が支払われなければなりません。年俸制では労使ともに「年俸に時間外労働・休日労働に対する割増賃金も含まれている」と誤解していることがよくあるので注意が必要です。

(2)固定残業代制

固定残業代制とは、通常の賃金に加えて一定時間分の時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金が定額で支払われる給与形態をいいます。固定残業代制を採用する会社や事業所では「固定残業代以上の割増賃金は支払う必要がない」と誤解されているケースが少なくありません。

固定残業代制の下でも、法定休日に出勤した場合は、労働時間数が定額の割増賃金に含まれる休日労働時間数を超えた分の休日労働割増賃金が発生します。法定外休日に出勤した場合も、その日の労働時間が加わることによって定額割増賃金に含まれる時間外労働時間数を超えた場合、超えた分の時間外労働割増賃金が支払われなければなりません。

(3)裁量労働制(みなし労働時間制)

裁量労働制(みなし労働時間制)とは、実際の労働時間にかかわらず、一日あたり一定時間労働したとみなす勤務形態をいいます。

裁量労働制に対しても、休日労働や時間外労働の割増賃金が発生しないと誤解されていることが多くあります。しかし、裁量労働制のみなし労働時間はあくまでも「出勤義務がある日」を対象としたものです。休日出勤した場合には、実際に労働した時間に基づいて、必要な割増賃金の支払いが必要になります。

(4)フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、会社側が予め定めた総労働時間の範囲内で、労働時間や始業・終業時刻等を労働者が決めることができる勤務形態をいいます。

フレックスタイム制の場合も、法定休日に労働した場合は休日労働の割増賃金、法定外休日に労働した場合には、法定労働時間を超える時間に対して時間外労働の割増賃金が発生します。

有期雇用の場合

パート・アルバイト・契約社員・派遣社員等の有期雇用労働者に対しても、労基法第35条及び第37条1項の規定が適用されます。法定休日に出勤した場合、通常の労働日の労働時間数とは関係なく、労働時間数分の休日労働割増賃金を請求できます。

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休日労働に関係する会社の対応が違法になる場合

休日労働は原則として違法であり、一定の要件のもとで例外的に認められるものです。このため、以下に挙げるように、休日労働に関係する会社の対応が違法になる場合も多くあります。

1 36協定を締結していない状態で休日労働させた場合

上記のように、法定休日及び、法定外休日に法定労働時間を超える時間分労働させる場合は、会社が労働組合の代表者または労働者の過半数の代表者との間で協定を結ぶ必要があります。

この協定(36協定)を締結していない状態で休日労働・時間外労働をさせた場合、労働基準法第32条・第35条違反となるため、同様第119条1号の罰則が適用され、使用者に対して6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

2 休日労働の割増賃金を支払わない場合

(1) 休日労働に対して、35%以上の割増賃金を支払わないことは労基法第35条及び第37条1項に違反します。休日労働の割増賃金の未払いが起こる原因として、以下のような問題が考えられます。

  • ①休日労働に対して割増賃金を支払うという認識がないために支払わない
  • ②休日労働に対して割増賃金を支払うという認識はあるが、経営状況悪化により支払いができない
  • ③労働者に休日出社させて行わせたことが「労働時間」に含まれると考えていない
  • ④労働者が「管理職」であるため労基法第41条2号により割増賃金支払義務がないと考えている

(2) このうち、①と②は明らかに違法です。これに対して③と④については、会社側の対応が違法になる場合と、違法にならない場合があります。以下、順にご説明します。

(3) ③ 会社行事への参加や電話接受等の断続的労働が「労働時間」にカウントされるか?
休日に開催される研修、懇親会等の会社行事への参加については、強制(全員参加)であれば原則として「労働時間」にカウントされ、任意であればカウントされないと解されています。ただし、参加が任意であっても、参加しなかった従業員の人事評価を下げたり、減給等の不利益を課すことがあれば、事実上の強制にあたり、「労働時間」にカウントされると考えられます。「労働時間」にカウントされる場合は、休日出勤扱いとなり、必要な賃金ないし割増賃金が支払われなければ違法になります。

また、電話接受、見回り等の業務については、会社が労働基準監督署に「宿日直許可」を申請して許可を得ていた場合のみ、労働基準法第41条3号の「監視または断続的業務」に該当します。この場合は、労働時間にカウントされず「休憩時間」の扱いになります。宿日直許可を得ていない場合は、数時間に1回程度の電話対応のみであっても「労働時間」にカウントされ、休日出勤扱いになります。

(4) ④ 管理職者が労基法第41条2号の「管理監督者」に該当するか?
労基法第41条2号は、「監督もしくは管理の地位にある者」(管理監督者)について、労基法の労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を除外しています。この規定を根拠に、課長・店長・マネージャー等の役職が「管理監督者」にあたるとして、休日出勤させても休日労働手当や時間外労働手当を支払わない会社が多く存在します。

しかし、この「管理監督者」について、厚生労働省は通達※により、以下のような立場にある者に限定されるとしています。

  • 労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場にある
  • 自身の勤務態様、特に労働時間について裁量権を有している
  • 一般の従業員と比較して、その地位と権限に相応しい賃金上の処遇を与えられている

※2008年9月9日 基発第0909001号 (基発:厚労省労働基準局長名で各都道府県労働基準局長宛てに出された通達)

この解釈に従えば、管理監督者に該当する役職は代表取締役・取締役他、少なくとも部長以上の役職に限られ、課長・店長・マネジャー等は管理監督者にあたるとはいえません。従って、その従業員が部長以上の役職にあたらない限り、割増賃金を支払わないのは違法といえるでしょう。

3 休日労働が労働基準法の上限規制を超えている場合

会社と労働者の間で36協定を締結していても、時間外労働と休日労働を合計した時間が一定時間を超えると、違法になる可能性があります。

労働基準法36条4項では、時間外労働の上限規制に関する規定があり、かかる規制は中小企業も含めたすべての企業に適用されています。これにより休日労働も含めた時間外労働は、原則として月45時間・年360時間が上限となっています(労基法第36条4項)。

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違法ではないが割増賃金が発生しない場合

前章のケースとは別に、以下のような場合は労働者が自ら休日に労働していても、休日出勤扱いにならないため注意が必要です。

振替休日を設ける場合

前述のように、法定休日に出勤を命じる場合に、事前に振替休日を設けた場合は、法定休日であった日の労働時間に対して休日労働の割増賃金は発生しません。

休日出勤命令がない場合

休日出勤命令なしに自主的に出勤している場合は、原則として休日出勤扱いになりません。ただし、休日出勤しなければ到底間に合わない納期や業務量を会社側が指示していた場合は、休日出勤そのものの指示がなくとも「黙示の指示」があったといえるので、休日出勤に該当すると考えられます。

自宅に仕事を持ち帰っている場合

また、業務量の多さ等が原因で労働者が自宅に仕事を持ち帰って作業している場合も、休日出勤には該当しません。ただし、持ち帰り作業について会社による指示があった場合は、休日出勤(時間外労働)と認められる可能性があります。この場合、「その作業を行うために一般的に要すると見込まれる時間量」と、「実際に要した時間量」とを証明する必要があります。

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裁判例(休日労働の適法性や割増賃金支払義務の有無が争われた判例)

ここでは、休日労働の適法性や、法定休日に出勤させた場合の割増賃金支払義務の有無が争われた裁判例をご紹介します。

1 ファニメディック事件(東京地方裁判所2013年7月23日付判決)

獣医師の本採用拒否の効力とともに、休日割増賃金が含まれるか明らかでない「固定残業代」の定めの効力が問題となったケースです。

事実の概要

獣医であるXは、Y社と試用期間6か月の雇用契約を締結しましたが、Y社はXの臨床能力の不足、協調性欠如、必要な教育の受講拒否等を理由に、試用期間満了をもって本採用を拒否しました。

また、Xの基本給は30万2,000円であったところ、Y社の就業規則には、基本給について以下の「固定残業代」の定めが存在していました。

「以下の式により算出される金額を、75時間分の時間外労働手当相当額(①)及び30時間分の深夜労働手当相当額(②)として含むものとする。

① (能力基本給+年功給)×34.5%
② (能力基本給+年功給)×3.0%

Xは、本採用拒否の無効を主張して雇用契約上の地位確認を求めるとともに、上記の固定残業代の無効を主張して、未払い残業代の支払いを求めて提訴しました。

裁判所の判断

東京地方裁判所は、本採用拒否を無効とするとともに、以下の理由で固定残業代についても無効としてXの請求を認めました。

(1)基本給に時間外労働手当が含まれると認めるための判断基準

基本給に時間外労働手当が含まれると認められるためには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分が判別できることが必要である。その趣旨は、時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分が、労基法所定の方法で計算した額を上回っているか否かについて、労働者自身が確認できるようにすることにある。

(2)上記に基づく本件固定残業代規定の有効性

本件Xの給与については、就業規則に従って計算することにより、通常賃金部分と割増賃金部分の区別自体は可能であるが、「75時間」という時間外労働手当相当額が2割5分の通常時間外割増賃金のみを対象とするのか、3割5分増の休日時間外の割増賃金をも含むのかは判然としない。このことから、本件固定残業代規定は、割増賃金部分の判別が必要とされている趣旨を満たしているとはいいがたいため、労基法第37条1項に違反し無効というべきである。」

(判決内容ここまで)

本件判決は、就業規則で固定残業代規定を定めるにあたっては以下の①②の両方を満たしていなければ違法になるという見解を示した点で注目されます。

①基本給相当分と割増賃金相当分とを明確に区別できる
②時間外労働手当のみを対象とするか休日労働手当も含むかが明示されている

2 HSBCサービシーズ・ジャパン・リミテッド事件(東京地方裁判所2011年12月27日付判決)

外資系銀行に年俸制で採用された管理職者について、法定休日等の割増賃金が年俸に含まれるか否かが問題となったケースです。

事実の概要

2007年12月17日付で外国法人Yに年俸1,250万円で正社員として雇用されたXは、入社と同時に香港上海銀行東京支店に出向を命じられ、経営上の重要度が高い新規プロジェクトの代表代行として勤務していました。しかし3か月の試用期間満了時の2008年3月7日に本採用を拒否されたため、Xは試用期間の未払残業代と付加金の支払い及び、企業型確定拠出年金積立金の返還等を求めて提訴しました。

なお、Xが着任した「代表代行」のポジションは、Y社の就業規則上「管理監督者」として時間外・休日勤務手当が支給されない位置づけになっていました。

裁判では、(1)Xが、労働基準法第41条2号の「管理監督者」に該当する(労基法第37条を含む「労働時間」関連の規定が適用されず、残業代が支払われない)か否か、及び(2)年俸に時間外・深夜・休日割増賃金を含むとする労働契約の有効性が問題となりました。

裁判所の判断

東京地方裁判所は、以下の理由でまず(1)管理監督者性を否定した上で、(2)労働契約を無効と判断して、Xの未払い割増賃金324万6,922円及び遅延損害金の支払い請求を認めました(企業型確定拠出年金積立金の返還請求等その他の請求は棄却)。

(1)管理監督者性について

Xは、インターネットバンキング立ち上げに係るプロジェクト管理について一定の裁量権を有していたが、この裁量権はY社個人金融サービス本部の一部門である「マルチチャネル部門」の中の限定された業務に関するものにすぎない。代表代行が一定の部門を統括する職務を行っていたとは認められない上、Xはマルチチャネル部門において最下層に位置する職員であって部下にあたる職員は存在していない。このことからXは管理監督者にふさわしい職務内容や権限を有しなかったというほかはない。Xが労働時間管理を受けていなかったこと、報酬が相当に高額であったことを考慮しても、Xが労基法第41条2号に規定する「管理監督者」に該当すると認めることは困難である。

(2)時間外・深夜・休日割増賃金を含むとする労働契約の有効性について

XとY社との労働契約書の「報酬」の項では、「年間の俸給は1,250万円とし、毎月その12分の1が支払われる」「年間の俸給は、残業や休日出勤に対するあらゆる賃金を含む」旨規定されているが、年俸のうち割増賃金に当たる部分とそれ以外の部分とを明確に区分できる場合に限り、その有効性を認めることができる(最高裁1988年7月14日付判決)。しかし当該規定において、そのような明確な区分がされているものとは認められないから、法定時間外労働等に対する割増賃金について、これを年俸に含むとの合意は、労基法第37条に反し無効である。

また、休日割増賃金に関連して、Y社(週休2日制)が法定休日を定めていなかったことから、法定休日が土曜日と日曜日のどちらにあたるかが問題となりました。Y社が暦週の最終日の土曜日が法定休日であると主張したのに対して、裁判所は「日本の旧来からの社会通念上、週の起点を月曜日とし、最終日の日曜日を法定休日にすべきである」と判断しました。これにより、法定休日労働の割増賃金は日曜日の出勤回数から算出されました。

(判決内容ここまで)

本判決は、休日労働との関係では、以下の点で注目できます。

(1)固定残業代制をとる会社の給与に「割増賃金相当分も含まれている」とする労働契約に対して、「給与のうち割増賃金にあたる部分とそれ以外の部分とを明確に区分できる場合のみ有効」とする最高裁の見解を踏襲した上で、当該労働契約ではそのような明確な区分がなされていないと判断したこと

(2)法定休日を定めていない週休2日制の会社の法定休日について「日本旧来の社会通念」に基づいて週の起点を月曜日とし、最終日の日曜日を法定休日にすべきと判断したこと

(2)については、土曜と日曜では日曜の方が出勤回数が多かったことも考慮されている可能性があります。同時期の判例の中にも、日本マクドナルド事件(東京地裁2008年1月28日付判決)のように、その会社の法定休日を土曜日と判断した例があります。

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弁護士への相談(休日出勤でトラブルになった場合)

休日出勤に関わるトラブルの解決にあたっては、弁護士に相談することをおすすめします。休日出勤のトラブルについて、弁護士に相談することには以下のようなメリットがあります。

休日出勤が違法か否かを判断してもらえる

休日出勤に関わる会社の対応の違法性の判断については、専門的な知識や経験が必要になります。労働問題に知見のある弁護士に相談することにより、行った(あるいは命じられた)休日出勤が、適法性の要件を満たしているか的確に判断してもらうことができます。

請求できる金額を正確に算定してくれる

休日出勤については、法定休日に出勤する場合と法定外休日に出勤する場合とで、割増賃金の発生の有無や割増率が異なります。また、会社によっては法定休日が明確に定められていない場合もあります。さらに、休日出勤が必要な会社では通常の労働日の時間外労働(残業)が行われていることがしばしばあります。これらのことから、休日出勤と通常の労働日の時間外労働を併せた「未払賃金」の請求額を正確に算定するのには多大な労力がかかります。弁護士に相談することで、会社に請求できる金額を正確に算定してもらえます。

会社との交渉や訴訟等の法的手続きを任せられる

会社に対して違法性の主張や権利行使を行うためには、証拠を揃えた上で会社と交渉しなければなりません。しかし、労働者が単独でこれを行うのは容易ではありません。まず、会社が交渉に応じてくれないことが少なくありません。また、顧問弁護士に依頼して請求を拒否される場合もあります。

弁護士に交渉を依頼することで、有効な証拠を揃えて会社と対等に交渉できます。また、会社との交渉がまとまらなかった場合も、労働審判や訴訟等、裁判所が関与する手続きを全て任せることができます。

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まとめ

休日出勤に対しては、以下のような原因でトラブルが起こりやすくなっています。

  • 法定休日と法定外休日の区別に対する認識の違いによる割増賃金未払い
  • 休日出勤で行った業務を「労働時間」と認めるか否かの見解の違いによる割増賃金未払い
  • 労働者が休日出勤命令を拒否する理由の正当性

いずれの場合も、会社の対応の適法性や、労働者が権利を行使できるか否かの判断には専門的な知識が必要になります。そこで、休日出勤に関わる問題でお困りの方は、弁護士への相談をおすすめします。

ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する全弁護士が、休日出勤の適法性や割増賃金の発生の有無、割増率等を検討・判断した上で、とりうる対処法について懇切丁寧にお答えします。当事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。「土日も出勤しているのに手当が出ていない」「必要があるとは思えない休日出勤をたびたび命じられて困っている」等、休日出勤のことでお困りの方は、ぜひ当事務所の無料法律相談をお申込みください。

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