
「勤めている会社が業績不振で、退職勧奨を受けました。条件次第では退職に応じようかと思っていますが、提示された条件では退職金も満足できないし、退職日も早すぎる。他の条件にも納得できないものが多いです。条件を良くしてもらうことはできるでしょうか?」
当法律事務所では、「解雇はされていないが、退職勧奨を受けている。提示された退職条件が妥当なのか弁護士に相談したい。」という相談を頂くことがあります。退職勧奨を受けた場合、同時に退職条件が提示されることが多いです。退職勧奨は従業員の自発的な退職を促す行為である以上、退職しなくても構いません。それでは、条件次第で退職に応じる意思がある場合は、出された条件に対してどのように対処すればよいでしょうか?
本記事では、退職勧奨で条件提示を受けた場合の対処法について、以下の点を中心に弁護士が解説します。
会社は、従業員に自発的な退職を受け入れてもらう見返りとして、退職金等の金銭的条件を中心としたいくつかの条件を提示してきます。会社が提示する条件として、次のようなものが挙げられます。
一般的に、最もよく行われるのが以下のような金銭面での条件提示です。
金銭的条件で最も提示されることが多いのは、給与の〇ヶ月分という形式での解決金の提示です。退職金上乗せです。通常の退職金にプラスして、賃金数か月分~1年分程度の金額が「特別退職金」として提示されることがあります。また、外資系企業のように退職金制度がない会社では、「解決金」「特別功労金」等の名目で提示されることが多いです。上乗せの金額には、対象者の勤続年数・年齢・会社側の違法性の有無等が反映され検討していることが多いです。
未消化有給休暇の清算が提示される可能性も高いです。清算方法として、以下のようなものが挙げられます。
会社が有給休暇買取を提示することは、厳密には労働基準法第39条に違反しますが、労働者から買取を求めることは違法ではないため、実務では、会社と労働者の合意を持って買取をすることがあります。
退職時期や退職理由についても、自主退職に応じる見返りとして労働者側に有利な条件が提示される可能性があります。
退職日について、以下のように労働者の生活設計に配慮した日程が提示されます。
退職理由についても、失業保険の受給要件や給付日数で有利となる「会社都合退職」として扱う可能性があります。または、自己都合退職としつつ、離職票の記載への配慮やハローワーク対応で不利にならない表現を用いることを約束される場合もあります。
退職の見返りとして、次のような転職支援の条件を付与されることもよくあります。
特に外資系企業では、労働基準法上の年次有給休暇とは別に「ガーデンリーブ」と呼ばれる就労免除期間が付与されることもあります。
就業規則で従業員に競業避止義務や守秘義務が課されている場合、退職勧奨の条件提示では当該義務が緩和されることもあります。これに伴い、同業種や隣接業種の会社や近隣地域の会社への転職も認められる可能性があるでしょう。ただし、就業規則に定められていない義務が個別に課される場合もあるので注意が必要です。
下記の清算条項等、紛争解決や法的関係整理に関わる条件も提示されます。
退職合意書には、清算条項と言って、「合意した条件以外に何ら請求しないことを確認する」という条項が盛り込まれることが一般的です。清算条項の存在によって、一度退職条件に同意すると後から条件改善を求めることが原則としてできなくなります。
退職を促すために、懲戒処分撤回や人事評価修正、社内記録の訂正・削除等の労働者に有利な措置を行う旨の条件が出されることもあります。
上記の他、以下のような条件が入ることもあります。
ここで、退職勧奨を受けた場合に会社から提示される「退職条件案」をどのような観点から判断すべきか、チェックポイントを見ていきましょう。
| 退職条件の種類 | チェックすべき点 |
| 金銭条件 | ▢ 解決金・特別退職金等の金額や支払期限が明記されているか ▢ 税区分(退職所得/給与所得)が労働者の不利にならないか ▢ 賞与相当額・有給休暇清算が含まれているか |
| 退職理由・離職票 | ▢ 会社都合か自己都合か ▢ 「一身上の都合」に固定されていないか(その他の理由が記載されているか否か) ▢ ハローワークに対応してもらう際に労働者の不利にならない表現であるか |
| 清算条項 | ▢「今後一切の請求をしない」等の漠然とした文言になっていないか ▢ 清算条項の対象が「本件退職に関する事項」に限定されているか ▢ 労働者の正当な権利である未払残業代請求権や損害賠償請求権まで放棄させられていないか |
| 競業避止義務・守秘義務 | ▢ 新たな競業避止義務が追加されていないか ▢ 義務を課す期間・地域・職種が過度でないか ▢ 補償のない制限になっていないか |
| 「即決要求」の有無 | ▢「本日中に決断すること」「持ち帰り不可」等の要求の有無(即決要求があると違法な退職強要にあたると判断される可能性があるため) |
退職勧奨を行う際、最初は低めの条件を提示してくることが多いです。労働者側に退職に応じる義務がない以上、退職そのものに同意していても条件に納得できない場合は、条件改善を申し入れることができます。
まず、改善を求める退職条件について、文書で会社に伝えます。できるだけ丁寧な言い回しで、具体的な内容を提示するとよいでしょう。
先日〇〇様(担当者)より提示頂いた条件について検討しましたが、現時点では同意できない部分があります。退職を前提に検討するためには、以下の条件の追加をお願い致します。
条件を追加(改善)して頂いた場合は前向きに検討することが可能ですので、よろしくお願い致します。 |
退職勧奨が任意の退職を促す行為である以上、労働者には退職に応じる義務はありません。提示された条件に納得できない場合は、退職を拒否することもできます。退職を拒否する場合も、できるだけ冷静に「この会社で働き続けたいので退職には応じられません」等の丁寧な言い回しで意思を伝えるようにしましょう。
会社から提示された退職条件に納得できない場合、対処方法について弁護士に相談するのがベストといえます。条件次第で退職に応じる意思がある場合は、弁護士に交渉代理を依頼することで大幅に条件を改善してもらえる可能性があります。また、退職勧奨を止めてもらいたい場合も、弁護士に相談すると弁護士名義で退職勧奨の中止を求める内容証明を送ることができます。また、今後の退職勧奨の交渉を弁護士に一任することも可能です。
退職勧奨で会社が条件提示を行う際、最初の提示は低めに設定されることが多いです。また、「この条件に同意しなければ条件提示を撤回する」(つまり、退職金上乗せ等の労働者の受益をゼロにする)等と申し向けることもあります。会社が提示した条件に納得できなくても、労働者が単独で会社に対して要求を認めてもらうことは難しいため、条件交渉について弁護士に相談することをお勧めします。退職の条件交渉(パッケージ交渉)について弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。
まず、退職勧奨に対して納得できない場合、弁護士に相談することで退職勧奨が違法かどうかを的確に判断してもらえます。
パッケージの増額交渉を労働者本人が行うことは容易ではありません。しかし、パッケージを増額できる根拠が少しでもある場合は、弁護士が介入することで、大幅に増額できる可能性があります。弁護士が代理人として交渉することで、会社側が顧問弁護士に依頼したとしても対等に交渉できます。
また、退職に合意した上で増額交渉したい方にとっては、交渉に時間と労力を費やすよりも、転職活動に専念したいところでしょう。弁護士に交渉を任せることで、安心してより良い転職先を探している方もおります。
ウカイ&パートナーズ法律事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。退職勧奨の適法性や、退職条件改善が可能か否か等については、無料相談の時間内にお答えできる可能性が高いでしょう。
会社が退職勧奨の際に条件提示をしてきた場合、最初に出された条件は交渉次第で改善の余地がある「たたき台」であると考えてよいでしょう。弁護士に相談して交渉を依頼することで、初回提示に比べて大幅に条件をアップできる可能性が高くなります。提示された条件に納得できない場合は返答を保留した上で、弁護士にご相談ください。
ウカイ&パートナーズ法律事務所では、所属する弁護士全員が、退職勧奨の適法性や、退職条件改善の可能性について検討し、とりうる対処法について懇切丁寧にお答えします。当法律事務所では、初回30分無料で法律相談をお受けしています。「提示された退職金の金額が少なすぎると思うが、交渉次第で増額できるか」等、退職条件についてお悩みやご質問のある方は、ぜひ当法律事務所の無料法律相談をお申込みください。
