遺産分割は一見複雑なプロセスに見えるかもしれませんが、適切な知識と計画があれば、公平かつ円滑に行うことができます。以下の記事では、遺産分割の基本的な手順と注意点について説明します。

遺産分割は一見複雑なプロセスに見えるかもしれませんが、適切な知識と計画があれば、公平かつ円滑に行うことができます。以下の記事では、遺産分割の基本的な手順と注意点について説明します。
遺産分割は、遺産を相続するすべての人々(相続人)が参加する手続きです。これは通常、遺産の価値を公正に分割するために行われます。

遺産分割を始める最初のステップは、相続人の確認です。相続人とは、法律上、遺産を受け継ぐ権利を持つ者を指します。通常、直系血族(親、子)、配偶者、兄弟姉妹などが相続人となります。遺言によって第三者へ相続を指定する「遺贈」がある場合、法定相続人でない人も遺産を受け継ぐ権利を持つことがあります。相続人の中には、遺産の一部を放棄する「相続分の放棄」をする者もいます。これら全員が遺産分割に参加する必要があります。もっとも、遺贈で財産を取得する「受遺者」が法定相続人との間で遺産分割協議をする必要があるかどうかは、遺贈の形式により異なります。
続いて行われるのは遺産の評価です。遺産となる資産は多岐にわたり、不動産、貴金属、現金、株式、債権などが含まれます。また、被相続人が持っていた借金やその他の負債も考慮されます。これらの価値を正確に評価することが重要で、一部の高額な資産については専門家による評価を求めることもあります。
全ての相続人が集まり、遺産の分割について協議します。これは遺産分割の最も重要なステップで、公平かつ円滑な分割を実現するためには全員が納得する内容で合意を得ることが必要です。そのため、遺産の種類、価値、相続人の数や希望などにより、適切な分割方法が検討されます。また、複雑なケースでは専門家である弁護士による判断を仰ぎます。
遺産分割協議の結果、遺産の分割方法が決まったら、その内容を正式に記録するために遺産分割協議書を作成します。この協議書には遺産の具体的な分け方、負債の処理方法、そして相続人全員の署名・実印での押印が必要です。また相続人全員の印鑑証明書を添付します。この協議書は、遺産の正式な分割に関する法的な文書としての役割を果たします。なお、遺産分割協議書は一度作成されると変更が難しいため、細心の注意を払って内容を確認する必要があります。また、遺産分割協議書の作成には専門的な知識が求められるため、不確かな点がある場合は専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
最後のステップは、遺産分割協議書に基づいた遺産の分配です。各相続人に対する遺産の配分は公正かつ透明に行われるべきです。また、不動産や自動車などの登記変更手続きもこの段階で行います。これには登記簿謄本の取得、登記申請書の作成、そしてそれらを法務局に提出する手続きが含まれます。これらの手続きは複雑で時間がかかるため、早めに行うことが推奨されます。
現物分割は、相続財産を物理的に分ける手法です。つまり、現金や不動産、家財道具など、具体的な財産を相続人間で配分する方式を指します。この方法では、具体的な財産が直接手に入るため、分割後すぐに利用できる点がメリットです。しかし、財産の価値が等しく分けられない場合や、特定の財産に対する希望が相続人間で異なる場合には問題が生じることがあります。現物分割を行う場合は、公平性を保つために評価や調整が必要となることが多くなります。
換価分割とは、現物のまま分割するのではなく、すべての遺産を換価(価値を金額に換算)し、その価値に基づいて遺産を分割する方式です。この方法の利点は、不動産や株式といった分割が難しい財産も金額に換算して分配でき、公平な分配が可能となることです。一方で、換価分割を行う際は財産の評価が必要となります。この評価は時価や専門家の評価に基づくため、評価額に相続人間で意見の相違が出ることもあります。さらに、財産を売却する必要がある場合、売却に時間がかかることもデメリットと言えます。
代償分割は特定の遺産を一人の相続人が全て受け取り、他の相続人に金銭等で補償をする方式を指します。例えば、一つの不動産が遺産として存在した場合、その不動産を一人の相続人が全て受け取り、その価値に相当する金額を他の相続人に支払う形となります。この方式の利点は、分割が難しい財産(不動産や特定の株式など)を一つにまとめて受け継ぐことが可能となる点です。しかし、他の相続人に対する適切な補償額の算出や、補償金の調達が必要となるため、それらの調整が求められます。また、公平性を保つためには詳細な財産評価が必要となります。
共有分割とは、相続財産を特定の相続人が独占するのではなく、全ての相続人が共有する方法です。共有財産として管理・運用し、その利益や損失を相続人全員で分け合います。この方法は、遺産の分割が難しい場合や相続人間の合意が難しい場合などに用いられることがあります。ただ、共有分割の場合、管理・運用に関する意見の相違が発生しやすく、共有者間の摩擦を生む可能性があります。また、不動産などの共有財産を売却する際、全員の同意が必要となるため、手続きが複雑になります。このため、共有分割を選択する際には、共有者間での合意形成のプロセスや、財産の管理・運用について事前に十分な話し合いが必要となるでしょう。
法定相続分は、故人が遺言を残していない場合の遺産分割の基本的な割合を決定します。相続人の関係性により、一定の比率で相続が行われます。例えば、配偶者は半分、子はその残りを等分するといった具体的な割合が法律により定められています。
故人が遺言を残していた場合、遺言に従って遺産を分割します。遺言により、特定の相続人に対する遺産の割り当て比率を指定することが可能です。もっとも、遺言者が遺言と異なる内容の遺産分割を禁じた場合を除き、相続人全員の同意があれば遺言書と異なる遺産分割協議をすることもできます。

遺産分割は全ての相続人に公平であることが求められます。特に、相続人が複数いる場合や遺産が多様な資産から構成されている場合、公平な分割を保証することが必要です。特定の相続人に対する優遇や不利益をもたらす分割は、後に紛争の原因となる可能性があります。
遺産分割では、相続税の影響も重要な考慮点となります。相続税は遺産の価値に基づき計算され、相続人が支払うべき税金です。遺産分割が税務上の不利益を生じさせないよう、必要であれば税理士や専門家の助けを借りることが重要です。
遺産分割は法律的な手続きであり、法的な問題を未然に防ぐ必要があります。例えば、遺産分割協議書が適切に作成され、全ての相続人が合意した内容が記録されていないと、後に争われる可能性があります。
遺産が不動産を含む場合、その価値の評価や公平な分割、さらにその後の管理や売却についても慎重に考慮する必要があります。不動産は遺産の中でも特に扱いが難しい資産であり、適切な管理や売却を行うことが必要です。
遺産分割協議書は、遺産分割の合意内容を正式に記録するための重要な文書です。この協議書は、全ての相続人が納得できるように、遺産の具体的な分割方法や負債の処理方法などを詳細に記載するべきです。
遺産分割は時間とコストを必要とするプロセスです。遺産の評価、相続人間の協議、協定書の作成、登記変更などの一連の手続きは複雑で時間を要します。専門家の意見を求める場合や法的手続きを行う場合など、さまざまなコストが発生します。これらを事前に見積もり、適切に計画することが重要です。
遺された家族の生活を保障するという意義のため、遺留分として一定範囲の法定相続人に最低限の遺産取得を保障する制度があります。もっとも、遺産分割協議で他の相続人から不公平な遺産分割案を提示されても、これに対して遺留分侵害額請求をすることはできません。 しかし、後で揉めることのないよう遺産分割協議書の作成には、遺留分の保障に注意を払った方がよいでしょう。
遺言が存在する場合、その内容に従って遺産分割を進めます。遺言書は遺産の分割や特定の財産の取り扱いについての指示を含むことがあります。なお、遺言書があっても遺産分割協議による相続が可能な場合もあります。詳しくは弁護士にお問い合わせ下さい。

相続人の間で話し合いがまとまらない場合は、弁護士が介入して遺産分割協議が円滑に進むようにします。
このようなケースでは相続人同士で連絡を取ることも苦痛でしょう。弁護士が代理人になれば、面倒な相続人間の交渉を一切引き受けます。そして、すべての相続人が納得のいく形で遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議には相続人全員が参加することが必要です。一部の相続人と連絡が取れない場合は、遺産分割協議を始めることができません。 弁護士は、必要に応じて相続人の住民票を追うことが可能ですので、連絡先のわからない相続人の住所地を確かめることが可能です。また、個人名では連絡がつかなった相続人も弁護士名で連絡文書を出した場合、連絡してくるケースも多くあります。
このようなケースでは、相続人間は疎遠であることが多く、連絡もしづらいことでしょう。また、例えば、お父様が亡くなって、相続財産が一等地にある自宅だけだった場合、自宅に住み続けるためには、前妻のお子様に高額の代償金を支払わなければなりません。代償金を支払えない場合は、自宅を売らなければならない場合もあります。弁護士が相手方と交渉すれば、遺産分割協議書に代償金の支払を分割にする等の規定を折り込むことも可能です。
話し合いがまとまらず、取り合えず不動産を相続人間の共有名義にしてしまうと、二次相続でまた揉める可能性が高くなります。弁護士が介入すれば、例えば、「自宅は母が住み続けるため母が相続し、子供達には現金を多めに相続させる」というように、全ての相続人が納得いくように交渉します。
法律に沿っていないかたちで、遺産を独占しようとする相続人がいる場合、当事者間での話し合いでの解決は期待できません。弁護士が介入すれば、遺産を独占しようとする相続人に対し、法定相続分での取り分で遺産分割協議書に押印するよう交渉します。
2回分の遺産分割を一緒に協議する必要があるため、議論すべき点が増え、遺産分割協議が決着しない可能性を引き上げます。二次相続が発生すると相続人の数も増えるため、相続人の特定も難しくなります。弁護士は相続人を特定し、全ての相続人に連絡して、相続人間の交渉を行います。そして相続人の皆様が納得のいく形で遺産分割協議書を作成します。
被相続人との養子縁組により、その人が相続権を持つことが可能となります。 たとえば、すでに亡くなった長男の配偶者が義母との養子縁組を行えば、次男や長女と同等の地位で相続権を獲得します。 しかしながら、それに伴い次男や長女の相続分が少なくなるため、不満が生じることでしょう。加えて、次男の配偶者などと不必要な対立を引き起こす可能性も否定できません。 このように相続人の中に養子がいる場合は、相続人間でトラブルになりやすいため、弁護士に相談することをお勧めします。
遺産分割協議書って何ですか?
遺産分割協議書とは、相続人全員が遺産の分割方法について合意し、その内容を文書化したものです。具体的な遺産の分割方法や、負債の処理方法などが記載されます。全員の署名や実印での押印が必要で、全員が合意しないと有効にはなりません。
遺留分とは何ですか?
遺留分とは、法律で特定の相続人に保証される最低限の相続分のことを指します。配偶者や子供などは遺留分を持つため、その分は遺言で減じることができません。遺言書に示されている遺産分割割合が遺留分を侵害している場合、遺留分侵害額請求を行うことで、最低限保証された相続分を確保することができます。ただし、遺産分割協議を経て、遺産分割協議書を締結している場合は、あとから遺留分侵害額請求を行うことはできません。
遺産を同じ割合で分割するのが一番公平ではないですか?
遺産を同じ割合で分割することは一見公平に見えますが、それぞれの相続人の立場や需要、また法定相続分や遺留分なども考慮する必要があります。全ての状況で同じ割合で分割する方法が公平とは限らないため、具体的な状況に応じた分割方法を考えるべきです。
遺産分割に専門家を雇う必要がありますか?
遺産分割は複雑で専門的な知識が必要な場合が多いです。遺産の評価、相続税の計算、法的手続きなどは専門家の支援があるとスムーズに進むことが多いです。また、専門家は相続人間の意見の調整や問題解決にも役立ちます。
相続税は誰が払うべきですか?
相続税は、法定相続人のほか、受遺者や特別寄与者など、相続を受けた全ての人が支払います。 相続が発生した場合は、10か月以内に相続税申告書を所轄税務署に提出し、納税を済ませなくてはなりません。相続税の計算や申告は専門的な知識が必要なため、税理士等の専門家の支援を受けることをお勧めします。
相続放棄はどうすればいいですか?
相続放棄を行うには、相続が開始した日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行う必要があります。注意点として、一度放棄したら再び相続することはできません。そのため、よく考えた上での決定が必要です。
遺産分割で揉めた場合、どうすればいいですか?
遺産分割で揉めた場合は、まず全員で話し合いを持つことが重要です。それでも解決しない場合は、家庭裁判所の調停や審判といった法的手段を利用することもあります。その際は、弁護士などの専門家の助けを借りると良いでしょう。
相続人が海外に住んでいる場合、どうすれば良いですか?
相続人が海外に住んでいる場合でも、通常と同様に遺産分割を行います。ただし、通信の手間や時間差、法律の違いなどが問題になることもあるため、注意が必要です。場合によっては、法律家や専門家と連携することも必要となるでしょう。
遺産分割協議書は弁護士に依頼すべきですか?
遺産分割協議書は法律的な効力を持つ文書ですので、専門的な知識が必要です。そのため、弁護士に依頼することは一つの選択肢です。ただし、遺産の内容や相続人間の意見がはっきりしていて、問題がない場合は自分で作成することも可能です
父が亡くなりましたが、遺産の存在が分からないです。どうすればいいですか?
遺産の存在を確認するためには、故人の金融機関や不動産登記簿、税務署などに確認の手続きを行うことができます。ただし手間もかかるため、弁護士等に依頼するのも一つの方法です。
