遺産の使い込みとは、亡くなった方のキャッシュカードや通帳・印鑑を管理していた相続人または第三者(遺産管理者)が、遺産を適切に保護・管理せず、無断で自己の物にしたり、勝手に消費する行為を指します。これには、遺産に対する法的な責任を果たさない、あるいは遺言の意向に反して遺産を使用する場合などが含まれます。一方、亡くなった方の生活費や治療費、介護費のために遺産が使われていたのであれば、使い込みとは言えません。

遺産の使い込みとは、亡くなった方のキャッシュカードや通帳・印鑑を管理していた相続人または第三者(遺産管理者)が、遺産を適切に保護・管理せず、無断で自己の物にしたり、勝手に消費する行為を指します。これには、遺産に対する法的な責任を果たさない、あるいは遺言の意向に反して遺産を使用する場合などが含まれます。一方、亡くなった方の生活費や治療費、介護費のために遺産が使われていたのであれば、使い込みとは言えません。

遺産管理者が、遺産に含まれる預貯金を個人的な支出や不適切な投資に使用するケース。これは遺産の資産を減少させ、相続人の利益を損なう行為とされます。
遺産に含まれる賃貸不動産からの賃料を、遺産管理者が私的に流用するケース。
遺産管理者が遺言者の意向や法律に反して、遺産に含まれる不動産を売却するケース。適切な評価や承認手続きを経ずに売却すると、相続人の権益を侵害する可能性があるため、問題となります。
遺産管理者が遺産に含まれる株式を無分別に取引し、遺産の価値を減少させるケース。特に個人的な利益のために行う取引は、法的に不適切な行為とされる可能性があります。
まずは、相続人が自分で資産や取引の記録を調べる方法があります。これには、銀行の取引履歴や不動産の契約書などの文書を確認する作業が含まれます。この方法は、費用が少なく済む反面、専門的な知識やスキルが不足していると、調査が不十分になる可能性があります。
弁護士に調査を依頼すると、法的な専門知識と経験を活用して、遺産の使い込みの証拠を探すことができます。弁護士は、関係者への取り調べや必要な文書の確保などを行います。例えば、遺産の使い込みが疑われる場合、預貯金の取引履歴の詳細な調査が必要になることが多いですが、弁護士に依頼すれば、銀行に対し、迅速に取引履歴の開示請求を行います。これにより、不正な取引や資金の流れを特定することができ、使い込みの具体的な証拠を得るために役立ちます。また、裁判所に訴訟提起する場合も法的な手続きをサポートできます。

関係者間で友好的な解決を図るものです。使い込みが誤解や間違いに基づくものである可能性も考慮し、直接対話を通じて誤解を解消し、合意に至ることができるかもしれません。この方法は、関係が悪化するのを防ぎ、費用も抑えることができます。
使い込みが明らかで、話し合いで解決できない場合、法的な手段に訴えることもあります。不当利得返還請求や損害賠償請求を通じて、使い込まれた財産の回復を図ることができます。訴訟は時間と費用がかかることが多いですが、法的な拘束力のある判断を得ることができます。裁判所の判断に基づいて、使い込んだ相手に対して法的な責任を求めることが可能です。訴訟提起する場合は、専門家である弁護士に依頼した方がよいでしょう。
遺産の使い込みが相続分割の際に問題となる場合、遺産分割調停を申し立てることができます。専門の調停委員が仲介し、関係者間での合意形成を支援します。自分で調停を申し立てることも可能ですが、どのような証拠を提出すればいいのかわからない等、不安がある場合は弁護士に依頼することをお勧めいたします。
なお、遺産分割調停は、あくまで家庭裁判所における話し合いの場にすぎないので、相手方が相続財産の使い込みを否定したり、使い込み額に争いがある場合には、別途、訴訟提起をする必要があります。
遺産の使い込みについて指摘されたときは、まず感情的になることなく、冷静に事実を確認し、必要な証拠を集めることが大切です。
相手方の主張を理解することが重要です。相手方がなぜあなたに対して遺産の使い込みを指摘しているのか、指摘しているポイントを正しく理解することで、次の行動が決まっていきます。
遺産の使い込みについての指摘が正当でないと考えられる場合、適切な反論を行います。反論をする際は、具体的な事実に基づいた証拠を提示することが重要です。例えば、遺産の使用に関する詳細な記録やレシートなどが有効な証拠となるでしょう。
状況が複雑または対話だけで解決しきれない場合、弁護士や法律専門家の助けを借りることで、より具体的かつ適切な対処法を見つけることができます。

弁護士に調査を依頼すると、遺産の使い込みの証拠を探すことができます。例えば、預貯金の取引履歴の詳細な調査が必要になることが多いですが、弁護士に依頼すれば、銀行に対し、迅速に取引履歴の開示請求を行うことができます。また、銀行に対し、振込依頼書等の開示を要請し、その筆跡が被相続人かどうかを照合することもあります。
さらに、金融機関のATMに設置されている防犯カメラの映像によって不正引き出しを行った者を特定することができます。一般の方には防犯カメラ映像の公開を許可しない金融機関が多いため、防犯カメラの映像を保存したい場合は、早急に弁護士に依頼した方がよいでしょう。
遺産の使い込みが確認できた場合、それを是正するための手段として、弁護士は相手方と交渉を行うことができます。相続人同士の交渉は困難な場合が多いですが、弁護士が間に入ることによって、問題が解決しやすくなります。また、交渉では問題が解決しない場合、弁護士に依頼していれば、利益を守るために迅速に訴訟を起こすこともできます。
遺産の使い込みが解決した後も、遺産の分割に関する問題が生じる可能性があります。弁護士は遺産分割に関する法律的なアドバイスを提供し、公平で適切な遺産分割を助けることができます。
遺産の使い込みに時効はありますか?
不当利得返還請求権の時効は、「権利の行使が可能であることを知ってから5年」、または「権利を行使可能となってから10年間」のうち短い方となります。つまり、使い込みが発覚してから5年以内、使い込みが始まってから10年以内に請求しなければなりません。
生活費にあてた場合も遺産の使い込みに該当しますか?
一般的に、遺産管理者(遺言執行者、遺産管理人、遺産相続人など)は、遺産の保全と適切な分配の責任を負います。そのため、遺産を生活費に使用した場合、その使用が適切であったかどうかは具体的な状況によります。
例えば、遺産管理者が遺産から生活費を得る権利をもっていたか、またはその遺産から生活費を得ることが合法的に許可されていたかなどによって、その行為が適切だったかどうかが決まります。
しかし、遺産管理者が遺産を私的な生活費に使用し、それが遺産の管理や分配の責務を侵害する場合、それは適切な使用とは見なされない可能性があります。このような場合、遺産管理者はその使用について説明し、場合によっては遺産を返還しなければならないかもしれません。
遺産の遣い込みを証明するにはどのような方法がありますか?
遺産の使い込みを証明するには、一般的に以下のような手段が考えられます。
・文書証拠
遺産の使用に関連する文書やレシート、銀行の取引記録、不動産の売却記録などが証拠となる可能性があります。これらの文書は、遺産の資金がどのように使われたかを示すことができます。
・防犯カメラ
銀行のATMに設置されている防犯カメラの映像によって不正引き出しを行った者を特定することができます。もっとも、銀行等の防犯カメラの映像は、数か月程度で上書きされてしまうことが多いため、早急に映像を保存することが必要になります。一般の方には防犯カメラ映像の公開を許可しない銀行が多いため、防犯カメラの映像を保存したい場合は、早急に弁護士に依頼した方がよいでしょう。
・目撃証言
遺産の管理者が遺産を不適切に使っているところを見た人がいれば、その証言も重要な証拠となる可能性があります。
・専門家の意見
顧問税理士などの専門家が、遺産の管理者が遺産を適切に管理していないという意見を提供できる場合、その意見も証拠となる可能性があります。
遺産の使い込みが発覚した場合、税金の支払いはどうなりますか?
遺産を使い込んだ場合でも、その使途に関係なく必要な税務申告が必要となります。相続税は、一般的に遺産を相続した人が相続財産に対して支払う必要がある税金であり、遺産がどのように使われたかによって免除されることはありません。
遺産を使い込んだ結果、相続人が相続税を支払うのに必要な資金が足りなくなった場合、問題となります。弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
遺産の使い込みは罪に問われますか?
相続人が財産の使い込みをすると横領罪や窃盗罪が成立することがあります。ただし、その相続人が配偶者・直系血族、および同居の親族の場合には、親族間相盗例(刑法第244条第1項)の定めにより刑が免除されます。
もっとも、配偶者・直系血族、および同居の親族の場合であっても、法定後見人、あるいは任意後見人に選任されている場合は親族相盗例の適用はなく、業務上横領罪(刑法253条、10年以下の懲役)が成立します。
